メタアナリシス:ニューモシスチス肺炎予防のためのペンタミジン静注

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PCPの予防は、プレドニゾロン20mg以上・1ヶ月以上、血液悪性腫瘍、免疫抑制剤使用中、造血幹細胞移植患者などに適用されます。

ベナンバックスを月1回投与するPCP予防についてのメタアナリシスです。ST合剤、アトバコンが使えないパターンで適用されることになります。ダプソンは血液悪性腫瘍の患者さんで無顆粒球症や溶血性貧血の懸念があり、あまり使用されません。薬価的にはダプソンのほうがよいのでしょうが。

ペンタミジンは、ニューモシスチスのグルコース代謝とタンパク合成を阻害します。イギリスで1930年代後半に合成され原虫治療薬で、当初トリパノソーマやリーシュマニアに対して有効という位置づけでした。



Chiu C, et al. Incidence of Pneumocystis Pneumonia in Immunocompromised Patients without Human Immunodeficiency Virus on Intravenous Pentamidine Prophylaxis: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Fungi (Basel) . 2023 Mar 25;9(4):406.

  • 概要
■ニューモシスチス肺炎(PCP)予防の第一選択薬はST合剤(TMP-SMX)であるが、HIV感染のない免疫不全者ではペンタミジン静注(IVP)が月1回使用される。

■HIV非感染免疫不全患者に対するIVPのPCP発症率と副作用の推定のために、システマティックレビューとメタアナリシスを実施した。MEDLINE、Embase、Web of Science、Cochrane Library、ClinicalTrials.govを2022年12月15日まで検索した。

■IVPによるブレイクスルーPCPは、プール発生率0.7%(95%信頼区間0.3-1.4%、16試験、3025人)、第一選択予防薬としてIVPを使用した場合も同様だった(0.5%;95%信頼区間0.2-1.4%、7試験、752人)。副作用のプール発生率は11.3%(95%信頼区間6.7-18.6%、14試験、2068人)であった。有害事象に関連した中止は3.7%(95%信頼区間1.8-7.3%、11試験、1802人)であったが、定期的にIVPを毎月投与されている患者では低かった(2.0%;95%信頼区間0.7-5.7、7試験、1182人)。






by otowelt | 2023-06-04 00:54 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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