ハンセン病予防に対するリファペンチン単回投与


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LTBIでもリファペンチン含有レジメン(3HP [12dose])が世界の主流ですが、ハンセン病でもこちらになりそうですね。




Wang L, et al. Single-Dose Rifapentine in Household Contacts of Patients with Leprosy. N Engl J Med. 2023 May 18;388(20):1843-1852.

  • 概要
■これまでの研究で、リファンピシンの単回投与は、ハンセン病患者の近親者においてハンセン病に対する予防効果があることが示唆されている。リファペンチンは、ハンセン病のマウスモデルにおいて、リファンピシンよりもMycobacterium lepraeに対する抗菌活性が高いことが示されたが、ハンセン病の予防効果に関するデータは不足している。

■ハンセン病患者の家庭内接触者において、リファペンチンの単回投与がハンセン病予防に有効かどうかを調べるために、クラスターランダム化比較試験を実施した。登録クラスターは、リファペンチン単回投与、リファンピシン単回投与、介入なしの3群のいずれかに割り付けられた。主要アウトカムは、家庭内接触者におけるハンセン病の4年間の累積発生率とした。

■合計207クラスター、7450人の家庭内接触者がランダム化され、68クラスター(2331人)がリファペンチン群に、71クラスター(2760人)がリファンピシン群に、68クラスター(2359人)が介入なし群に割り付けられた。4年間の追跡調査で新たに発生したハンセン病患者は合計24人で、累積発生率はリファペンチン群(2例)0.09%(95%信頼区間0.02~0.34)、リファンピシン群(9例)0.33%(95%信頼区間0.17~0.63)、介入なし(13例)0.55%(95%信頼区間0.32~0.95)となった。ITT分析では、リファペンチン群の累積発生率は対照群より84%低く(累積発生率比0.16;多重性調整95%信頼区間0.03~0.87;P=0.02)、リファンピシン群と対照群で累積発生率は有意差はなかった(累積発生率0.59,多重性調整95%信頼区間0.22~1.57;P=0.23 )。per-protocol解析では、累積発生率はリファペンチン群で0.05%、リファンピシン群で0.19%、介入なし群で0.63%であった。重篤な有害事象は観察されなかった。





by otowelt | 2023-05-31 00:47 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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