BOREAS試験:タイプ2炎症を有するCOPDに対するデュピルマブ


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ATSで話題になった演題です。

実臨床では末梢血好酸球数が高い症例にはヌーカラかファセンラ、FeNOが高い症例や好酸球性副鼻腔炎合併例にデュピクセントを使っています。テゼスパイアは発売されてからまだ2人しか使ったことがないですが、現時点ではまだファーストでは使っていません。

デュピクセントの処方は明確に増えていますが、この理由は2つあります。1つは自己注射できるところで、もう1つは上述したように好酸球性副鼻腔炎の保険適応をとっているからです。副鼻腔炎の検索は以前にも増して重要度が上がっており、耳鼻咽喉科とタッグで喘息をみていく場面は確実に増えています。

自己注射のなにがよいかというと、「3ヶ月分の医療費を単月にまとめることができる」という点です。そういう意味ではヌーカラも非常に重宝しています。

さて、学会レベルでは、2型炎症からタイプ2炎症という呼称に変わりつつあります。このタイプ2炎症がCOPD患者さんにみられる場合、それはもはやただのCOPDではなくて喘息のにおいを持っているわけですが、この分野で効果が示せるとなると、かなりの患者数の訴求できるわけです。デュピルマブが一歩先に出てきました。

Discussionで他のバイオに触れていないのは、やはり製薬会社的なゴニョゴニョでしょうか。一応書いておくと、末梢血好酸球数が150/μL以上でトリプル吸入療法であっても増悪が抑制できない重症COPD患者さんにおいて、メポリズマブはプラセボと比較して増悪率をわずかに減少させたとされています(METREX試験:率比0.82, 95%信頼区間[CI]0.68-0.98; METREO試験:率比0.80, 95%CI 0.65-0.98)(N Engl J Med 2017;377:1613-29.)。また、前年度に3回以上の増悪があり、トリプル吸入療法を使用していて、かつ末梢血好酸球数が220/μL以上という条件を持っているサブグループにおいてベンラリズマブでは有意な増悪抑制効果が見られています(Lancet Respir Med. 2020b;8:158-70.)。




Bhatt SP, et al. Dupilumab for COPD with Type 2 Inflammation Indicated by Eosinophil Counts. NEJM, May 21, 2023 DOI: 10.1056/NEJMoa2303951

  • 概要
■COPDの患者の一部は、2型炎症が増悪リスク上昇に影響する。デュピルマブは、IL-4/13をブロックする完全ヒト型モノクローナル抗体である。

■第3相二重盲検ランダム化試験において、血中好酸球数が300/µL以上で、標準的な3剤併用療法を行っても増悪リスクが高いCOPD患者を、2週間に1回のデュピルマブ(300mg)またはプラセボの皮下投与のいずれかに割り付けた。主要評価項目は、COPDの中等度または重度の年間増悪率とした。主要副次評価項目・その他評価項目は、1秒量変化、SGRQスコア、ERS-COPDとした。

■939人の患者がランダム化された(デュピルマブ群468例、プラセボ群471例)。平均ベースライン血中好酸球数は401±298/µL、平均ベースラインFeNO値は24.33±22.40ppbであった。

■中等度または重度の年間増悪率は、デュピルマブ群0.78(95%信頼区間0.64~0.93)、プラセボ群で1.10(95%信頼区間0.93~1.30)だった(率比0.70、95%信頼区間0.58~0.86、P<0.001)だった。トラフ1秒量は、ベースラインから12週目まで、デュピルマブ群で160mL(95%信頼区間126~195)、プラセボ群で77mL(95%信頼区間42~112)で(最小二乗平均差83mL、95%信頼区間42~125、P<0.001)、その差は52週まで維持された。52週目の時点で、SGRQスコアはデュピルマブ群で有意に改善した(最小二乗平均差-3.4、95%信頼区間-5.5~-1.3、p=0.002)。同様に、52週目のERS-COPDスコアもデュピルマブ群で改善した(最小二乗平均差-1.1; 95%信頼区間-1.8 to -0.4;P=0.001) 。

■ベースラインのFeNO値が20ppb以上であった患者において、12週目のトラフ1秒量のベースラインからの変化量の最小二乗平均は、デュピルマブ群で232mL(95%信頼区間164~299)、プラセボ群で108mL(95%信頼区間38~177)、最小二乗平均差は124mL(95%信頼区間45~203、P=0.002)だった。この改善は52週目まで持続した。





by otowelt | 2023-05-23 10:03 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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