耐性結核の接触者の1年結核罹患率
2023年 05月 28日
RRTB・MDRTBにおける接触者の結核罹患の貴重なデータです。
耐性結核によるLTBIと分かっている場合はレジメンに工夫が必要です。INH耐性結核患者の接触者は4R、RRTBの接触者は9Hとなりますが、MDRTBに対するLTBI治療は推奨がはっきりしておらず、LVFXあるいは感受性2薬剤などが考慮されます(表)。
Krishnan S, et al. One-year incidence of tuberculosis infection and disease among household contacts of rifampin- and multi-drug resistant tuberculosis. Clin Infect Dis. 2023 May 25;ciad301.
- 概要
■家庭内接触者(HHC)によるリファンピン耐性/多剤耐性結核菌曝露後の結核感染(TBI)および結核発病(TBD)の罹患率については、まだ十分に説明されていない。われわれは、HHCにおける1年後のTBIとTBDの罹患率を調べ、高リスク群における予防(TPT)の適用状況を評価することを目的とした。
■高まん延国8か国におけるリファンピン耐性/多剤耐性結核のHHCの横断研究を行い、1年後のTBIおよびTBDを再評価した。発症率は、一般化推定方程式を用いたロジスティック回帰または二項回帰により、年齢およびリスクグループごとに推定した。
■1016人のHHCのうち、247世帯850人(83.7%)が評価を受けた(中央値51.4週間)。242人のHHCのうち、52人がIGRA陽性で、1年間のTBI累積罹患率は21.6%(95%信頼区間16.7-27.4)であった。742人のHHCのうち16人がTBDを発症し、1年間の累積罹患率は2.3%(95%信頼区間1.4-3.8)だった。
■TBDの相対リスクは、高リスクでない群と比較して、年齢5歳未満、HIV陽性、ベースラインTBIの高リスク群でそれぞれ11.5倍(95%信頼区間 1.7-78.7)、10.4倍(95%信頼区間2.4-45.6) 、2.9倍(95%信頼区間 0.5-17.8) 高かった(p=0.0015)。1年後までに、4%(553人中21人)の高リスク群がTPTを受けた。
by otowelt
| 2023-05-28 00:17
| 抗酸菌感染症