肺化膿症222例の臨床的特徴
2023年 06月 26日
膿胸の研究は結構ありますが、肺化膿症の研究は少ないと思います。膿胸は、「膿」性「胸」水、つまり胸腔内に膿が存在することを意味します。肺化膿症は肺実質が膿瘍になっている状態を指します。当然、後者は胸腔ドレナージは不要です(有効だったという症例もあるのですが、それはレアケース)。
Vaarst JK, et al. Lung abscess: Clinical characteristics of 222 Danish patients diagnosed from 2016 to 2021. Respir Med. 2023 Jun 9;107305.
- 概要
■肺化膿症(LA)は重篤な呼吸器感染症であり、多くの場合、数週間の抗菌薬治療が必要である。本研究では、デンマーク人集団におけるLAの臨床像、治療期間、死亡率について記載した。
■デンマークの4医療機関における後ろ向き多施設コホート研究において、2016年から2021年の間にICD-10を用いてLAと診断された患者を同定した。背景、症状、臨床所見、治療に関するデータを抽出した。
■デンマークの4医療機関における後ろ向き多施設コホート研究において、2016年から2021年の間にICD-10を用いてLAと診断された患者を同定した。背景、症状、臨床所見、治療に関するデータを抽出した。
■診療録レビューの結果222人のLAが解析に含まれた。平均年齢は65歳(54-74歳)、62.9%が男性、74.9%が既喫煙者であった。COPD(35.1%)、鎮静剤使用(29.3%)、アルコール依存(21.8%)が共通のリスク因子であった。歯の状態が記録されたのは51.4%で、そのうち41.6%は歯の状態が悪いと報告された。患者は咳(78.8%)、倦怠感(61.3%)、発熱(56.8%)を呈し、入院期間は中央値14日(IQR 7-21)、抗菌薬治療期間中央値は38日(IQR 30-51)だった。全死亡率は、1か月後2.7%、3か月後7.7%、12か月後15.8%だった。
by otowelt
| 2023-06-26 00:38
| 感染症全般