RAPSODIレジストリ:気管支拡張症合併重症好酸球性喘息に対する抗IL-5/5Rα療法


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わずかではありますがCOPDでデュピルマブの効果がみられたように、要は疾患の合併があったとしても、その片割れが好酸球性喘息コンポーネントであれば生物学的製剤は当然効きます。

多くの第3相臨床試験では気管支拡張症は除外基準となっていますが、重症好酸球性喘息であれば生物学的製剤を普通に使えばよいと思っています。これはCOPDでもABPMでも同じロジックです。

日本の保険診療上は、既存の喘息治療をおこなっていることが前提になるので、その点には注意が必要です。




Bendien SA, et al. Real-world effectiveness of interleukin-5/5Ra targeted biologics in severe eosinophilic asthma with comorbid bronchiectasis. J Allergy Clin Immunol Pract. 2023 Jun 7;S2213-2198(23)00640-2.


  • 概要
■気管支拡張症は喘息患者によく見られる併存症であり、疾患の重症度上昇と関連している。重症の好酸球性喘息患者において、IL-5/5Rαを標的とする生物学的製剤は、OCS使用や増悪頻度に対して有効であることが示されている。しかし、併存する気管支拡張症がこれらの治療反応にどのような影響を及ぼすかは不明である。

■重症好酸球性喘息と気管支拡張症を併存する患者において、抗IL-5/5Rα療法が増悪頻度・1日のOCS維持量・累積OCS用量に及ぼすリアルワールドでの有効性を評価する。

■このリアルワールド研究では、オランダ重症喘息レジストリ(RAPSODI)から、抗IL5/5Rα製剤(メポリズマブ、レスリズマブ、ベンラリズマブ)を開始し、12か月以上の追跡データがあった重症好酸球性喘息とCTで同定された気管支拡張症の成人97人のデータを評価した。ITTおよび維持OCSの有無のサブグループで解析した。

■抗IL-5/5Rα療法は、維持OCSの有無にかかわらず、増悪頻度を有意に減少させた。生物学的製剤投与開始前の1年間に2回以上の増悪があった患者は全体の74.5%で、追跡調査では22.1%に減少した(p<0.001)。維持OCSの使用患者の割合は47%から30%に減少し(p<0.001)、OCS依存患者(n=45)では1年後に維持OCS量が中央値(IQR)10.0(5-15)mg/日から2.5(0-5)mg/日へ減少した(p<0.001)。






by otowelt | 2023-06-19 00:52 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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