ENHANCE研究:COPDに対するエンシフェントリン
2023年 06月 28日
ホスホジエステラーゼ阻害薬のパイプラインとしては、Veronaのエンシフェントリンと、Chiesiのタニミラストとなりますが、エンシフェントリンの話題です。ホスホジエステラーゼ阻害薬は、現状ロフルミラストが国際的に用いられていますが、日本にはまだ入ってきていません。
GOLDガイドラインにも記載されるほどのエビデンスになると思われます。
ロフルミラストの場合、下痢が1つの懸念ではあったのですが、やせ型のCOPDに安全に用いることができるのであればありがたいですね。
Anzueto A, et al. Ensifentrine, a Novel PDE3 and PDE4 Inhibitor for the Treatment of COPD: Randomized, Double-Blind, Placebo-controlled, Multicenter, Phase III Trials (The ENHANCE Trials). Am J Respir Crit Care Med. 2023 Jun 26. doi: 10.1164/rccm.202306-0944OC
- 概要
■エンシフェントリンは、気管支拡張作用と抗炎症作用を有する新規の選択的ホスホジエステラーゼ(PDE)3およびPDE4のデュアル阻害薬である。COPD患者を対象としたこれらの効果を評価するため、エンシフェントリンのネブライザーによる第3相臨床試験(ENHANCE-1およびENHANCE-2)が実施された。この研究では、COPD患者の肺機能、症状、QOL、増悪に対するエンシフェントリンの有効性をプラセボと比較した。
■第3相多施設共同ランダム化二重盲検並行群間プラセボ対照試験を、2020年9月から2022年12月にかけて17か国の250施設で実施した。中等症および重症の症候性COPD患者が登録された(40~80歳)。
■760例(ENHANCE-1)と789例(ENHANCE-2)がランダム化され治療を受け、それぞれ69%と55%がLAMAまたはLABAを併用した。気管支拡張後%FEV1はそれぞれ平均値で52%と51%であった。
■第3相多施設共同ランダム化二重盲検並行群間プラセボ対照試験を、2020年9月から2022年12月にかけて17か国の250施設で実施した。中等症および重症の症候性COPD患者が登録された(40~80歳)。
■760例(ENHANCE-1)と789例(ENHANCE-2)がランダム化され治療を受け、それぞれ69%と55%がLAMAまたはLABAを併用した。気管支拡張後%FEV1はそれぞれ平均値で52%と51%であった。
■エンシフェントリン治療はプラセボに対して平均FEV1 AUC0-12hを有意に改善した(ENHANCE-1:87mL[95%信頼区間55-119]、ENHANCE-2:94mL[95%信頼区間65-124]、いずれもp<0.001)。エンシフェントリン投与は、ENHANCE-1では24週目の症状(E-RS)とQOL(SGRQ)をプラセボに対して有意に改善したが、ENHANCE-2では改善しなかった。
■エンシフェントリン治療は、24週にわたって中等度/重度の増悪率をプラセボより減少させた(ENHANCE-1:RR=0.64[95%信頼区間0.40-1.00]、p=0.050;ENHANCE-2:RR=0.57[95%信頼区間0.38-0.87]、p=0.009)。また、初回増悪までの期間を延長させた(ENHANCE-1:HR=0.62[95%信頼区間0.39-0.97]、p=0.038;ENHANCE-2:HR=0.58[95%信頼区間0.38-0.87]、p=0.009)。有害事象の発生率は、プラセボと同様であった。
by otowelt
| 2023-06-28 00:33
| 気管支喘息・COPD