侵襲性肺アスペルギルス症のリアルワールドデータ
2023年 08月 21日
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Henao-Martínez AE, et al. Invasive pulmonary aspergillosis real-world outcomes: Clinical features and risk factors associated with increased mortality. Med Mycol. 2023 Jul 25;myad074.
- 概要
■侵襲性肺アスペルギルス症は、主に免疫不全患者に罹患し、高い死亡率を伴う重症真菌感染症である。侵襲性肺アスペルギルス症の臨床的特徴、および関連死亡率のリアルワールド推定値および予測因子に関するデータは限定的である。世界的な研究ネットワークであるTriNetXを用いて、ICD-10コードB44.0に基づいて侵襲性肺アスペルギルス症と診断された成人患者を同定した。また、1年後に生存した患者と生存しなかった患者の臨床的特徴を比較する傾向スコアマッチを用いた解析を行った。
■対象となった侵襲性肺アスペルギルス症患者は4371人である。悪性新生物患者、固形臓器移植患者、血液悪性腫瘍患者、再生不良性貧血患者が主たるリスク因子であった。侵襲性肺アスペルギルス症の1年死亡率は全体で32%だった。
■ICUでのCOVID-19、AMLおよび再生不良性貧血患者、悪性新生物患者における侵襲性肺アスペルギルス症の1年死亡率は、それぞれ54%、50%、39%であった。傾向スコアマッチの結果、重症敗血症、胸水貯留、カンジダ症が診断後1年以内の死亡リスク因子だった。肝障害、過去6か月間の全身性ステロイド曝露、リンパ球数およびCD4数の低下、フェリチン上昇、LDHの上昇、血小板減少、貧血、HbA1c上昇は、1年後の死亡の独立予測因子だった。
■侵襲性肺アスペルギルス症の治療は、ボリコナゾールによるものが最も一般的であった(67%)。侵襲性肺アスペルギルス症の年間発生率は0.001%で、ICUの重症患者では0.02%に増加した。
by otowelt
| 2023-08-21 00:24
| 感染症全般