ILAの有病率

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たかがILA、されどILA。健常人で7%の人にILAがみられるというこのメタアナリシスの数値は衝撃的です。COVID-19の後遺症としてILDがある、という話は誰しも聞いたことがあると思います。イギリスのコホートで11%です(Am J Respir Crit Care Med. 2023 Mar 15;207(6):693-703.)。

となると、実はCOVID-19の後遺症としてのILDというのは、「元来のILA」を見ていただけという可能性があります。自戒も込めてですが、実臨床でこういう考え方って忘れてはいけないですね。目の前の事象だけで大局を判断しないことが大事です。

一部のILAは消失したり退縮したりしますが、自然に起こっているのか、外的なリスク因子が緩和されたことによるものかはいまだ不明です。



Grant-Orser A, et al. Prevalence, Risk Factors, and Outcomes of Adult Interstitial Lung Abnormalities: A Systematic Review and Meta-Analysis. Am J Respir Crit Care Med. 2023 Aug 3. doi: 10.1164/rccm.202302-0271OC

  • 概要
■胸部CT検査で偶発的に検出されるILAは、早期のILDである可能性があり、進行性線維化と死亡リスク上昇と関連している。ILAの有病率は不明であり、研究集団によって不均一である。

■メタアナリシスによって、肺癌検診、一般集団ベース、リスクを有する家族性コホートにおけるILAのプール有病率を推定し、ILAリスクと関連する変数を同定し、ILA関連死亡率の特徴を明らかにした。

■タイトルをスクリーニングし、抄録をレビューして全文で適格性を確認した。ランダム効果モデルを用いて、特定サブグループの有病率推定値とILA関連死亡リスクをプールした。ILAのリスクは、年齢、性別、FVに基づいて推定した。

■検索により9536件の研究が同定され、22件が組み入れられ、88,325人が登録された。プールILA有病率は、肺癌スクリーニングでは7%(95%信頼区間0.01~0.13)、一般集団では7%(95%信頼区間0.04~0.10)、家族性コホートでは26%(95%信頼区間0.20~0.32)であった。プール死亡リスクはILAを有する群で増加した(オッズ比3.56、95%信頼区間2.19〜5.81)。高齢、男性、%予測FVCの低値は、ILAのオッズ比上昇と関連していた。





by otowelt | 2023-08-18 00:01 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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