ABPAの長期的アウトカム

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要はタイプ2炎症を抑制できれば、再発に関してはそう懸念しなくてよいということです。

ABPAは難治性喘息を合併することがあるため、プレドニンを何年もかけて漸減→再増量などを繰り返しているケースがまだまだ多いですが、私個人としては積極的に生物学的製剤を導入すべきと考えています。



Agarwal R, et al. Long-term follow-up of allergic bronchopulmonary aspergillosis treated with glucocorticoids: A study of 182 subjects. Mycoses. 2023 Aug 9. doi: 10.1111/myc.13640.

■ABPAの長期的なアウトカムは不明である。

■3件のRCTから、急性期ABPA合併喘息の治療歴のない被験者を後ろ向きに抽出した。全対象者は4か月間プレドニゾロンを経口投与され、6週間ごとに6ヶ月まで、その後6ヵ月ごとにモニターされた。主要目的は、ABPA増悪の発生率と発生頻度を推定することであった。主な副次的目的は、ABPA増悪を予測する因子と治療中にみられる血清総IgEの変化を評価することであった。

■対象者は182人であった。81人(44.5%)の患者が512患者年の追跡期間中に120回の増悪を経験した。ABPA増悪の発生率は234/1000人年であった。ほとんどの患者(73/81、90.1%)は治療中止後3年以内にABPA増悪を経験した。多変量ロジスティック回帰分析では、末梢血好酸球数≧1000/μL(調整オッズ比2.43;95%信頼区間1.26-4.67)、気管支拡張症の程度(調整オッズ比1. 10;95%信頼区間1.03-1.18)、年齢(調整オッズ比0.97;95%信頼区間0.94-0.99)、女性(調整オッズ比2.16;95%信頼区間1.10-4.24)は、血清総IgEおよびHAMの有無で調整した後、独立してABPA増悪を予測した。

■効果および増悪を識別するための6週間後の血清総IgEの最良のカットオフは、それぞれ20%低下および50%上昇であった。





by otowelt | 2023-08-25 00:32 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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