ニューモシスチス肺炎に対する低用量ST合剤は有効かつ安全
2023年 08月 27日
日本発の報告です。統計学的に有意差はついていませんが、通常用量のST合剤のほうが死亡率は高めですね。
ST合剤は、スルファメトキサゾール400mg+トリメトプリム80mgの組成になっており、この報告における低用量の中央値8.71mg/kg/日は、60kg換算だと1日6-7錠になります。
昨年、CIDでも同様の報告がなされています。
■ニューモシスチス肺炎に対するST合剤を半減させる戦略(URL:https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/kurahara/202207/575658.html)
Nagai T, et al. Low- Versus Conventional-Dose Trimethoprim-Sulfamethoxazole Treatment for Pneumocystis Pneumonia in Non-Human Immunodeficiency Virus-Infected Patients: A Multi-Center, Retrospective Observational Cohort Study. CHEST, DOI:https://doi.org/10.1016/j.chest.2023.08.009.
■ST合剤は、HIV感染の有無にかかわらず、免疫不全患者におけるニューモシスチス肺炎(PCP)に有効な治療薬だが、有害事象の発現率が高いことが懸念されている。低用量ST合剤は、有害事象が少なく、有効なPCPの治療法の可能性があるが、エビデンスは限られている。
■この研究は、HIV感染のないPCP患者に対する低用量ST合剤の有効性と安全性を、通常用量のST合剤と比較することを目的とした多施設共同後ろ向き観察研究である。
■2006年6月から2021年3月までに3施設で非HIV-PCPと診断され、ST合剤による治療を受けた患者を対象とした。患者を低用量群(TMP 12.5mg/kg/日未満)と通常用量群(TMP 12.5~20mg/kg/日)に分類した。主要評価項目は30日死亡率、副次的評価項目は180日死亡率、CTCAE v5.0によるGrade 3以上の有害事象、初回治療完了率とした。背景特性は傾向スコアを用いたオーバーラップ加重法で調整した。
■低用量群55例、通常用量群81例が評価された。コホート全体では、平均年齢は70.7歳で、女性の割合は55.1%だった。ST合剤の平均投与量は、低用量群で8.71mg/kg/日、通常用量群で17.78mg/kg/日だった。30日死亡率(6.7% vs 18.4%、P=0.080)および180日死亡率(14.6% vs 26.1%、P=0.141)には、患者背景で調整しても有意差は観察されなかった。Grade 3以上の有害事象は、低用量群のほうが有意に低かった(29.8% vs 59.0%、P=0.005)。悪心は有意に低用量群のほうが低かった(0.0% vs 11.9%, P=0.005)。
■初回治療完了率は低用量群で43.3%、通常用量群で29.6%であった(P=0.158)。
ちなみに、トリメトプリムは尿細管におけるクレアチニンの分泌を減少させることが知られており、ST合剤によって見かけ上の血清クレアチニンが上がることはよく知られています。真の腎障害かどうかはシスタチンCを測定すれば分かるのですが、実臨床ではクレアチニンが上昇=ST合剤による腎障害だと短絡的に対応されているシーンをしばしば見かけます。
by otowelt
| 2023-08-27 01:54
| 感染症全般










