妊婦における結核感染のリスク

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出産時に母親が肺結核を発症していると、新生児に結核を感染させるリスクがあるため、妊娠中に治療を開始することで、出生時の感染性が低下するとされています。催奇形性はほぼありませんが、日本ではPZAは通常用いられず、HREの3剤で治療を行います。アミノグリコシドは当然禁忌です。




■結核は妊娠合併症と関連している。しかし、結核感染(TBI)が妊娠転帰におよぼす潜在的な影響は不明である。これを調査するため、スウェーデンの妊産婦ケアコホートにおいてQuantiFERONアッセイでTBIスクリーニングを受けた移民女性を対象とした研究をおこなった。

■結核まん延国からの移民歴のある女性で、2014~2018年の妊娠中に得られた国民識別番号とQuantiFERONの結果が入手可能であれば組み入れ対象とした。QuantiFERONの結果は、全国妊娠・患者登録から得られた母親の特性および妊娠転帰に関するデータとリンクさせた。TBIはQuantiFERON≧0.35 IU/mlと定義した。結核疾患発症後、HIV感染女性、多胎妊娠、移住後10年以上経過した者は除外した。母親の年齢と出身地域を調整した混合効果ロジスティック回帰を用いて、妊娠転帰のオッズを母親のTBI状態別に比較した。

■合計7,408人、12,443件の妊娠が対象となった。多変量解析では、死産(調整オッズ比1.90、95%信頼区間1.13-3.21、p=0.016)、重症子癇前症(調整オッズ比1.62、95%信頼区間1.03-2.56、p=0. 036)、低出生体重児(<2500g;調整オッズ比1.38、95%信頼区間1.01-1.88、p=0.041)、緊急帝王切開(調整オッズ比1.28、95%信頼区間1.02-1.63、p=0.033)はTBIと有意に関連していた。





by otowelt | 2023-09-16 00:04 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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