COPDに対するICSはCOVID-19を予防する?
2023年 09月 02日
COVID-19の初期ではパルミコートがよく使われていましたが、その後はるかに有効な抗ウイルス薬が登場したことから、現在は用いられていません。
■参考記事:
・COVID-19:STOIC試験:ブデソニド(パルミコート)は軽症例において効果あり?(https://pulmonary.exblog.jp/29480519/)
・COVID-19:PRINCIPLE研究:ブデソニドはハイリスク症例に対して回復までの時間を改善(https://pulmonary.exblog.jp/29629531/)
・フルボキサミン+ブデソニド吸入でCOVID-19重症化リスク半減(https://pulmonary.exblog.jp/30319926/)
Labor M, et al. Regular Inhaled Corticosteroids Use May Protect Against Severe COVID-19 Outcome in COPD. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis . 2023 Aug 7;18:1701-1712.
- 概要
■COPD患者においてICSがCOVID-19のアウトカムにどのような影響を及ぼすかについて、集団ベースにおける研究では相反するエビデンスが得られている。SARS-CoV-2感染において、ICSの定期的投与がリスク、重症度、生存アウトカムに影響を及ぼすかどうかを、スウェーデンのデータベースを用いて調査した。
■2020年1月から12月にかけて、スウェーデンの2つの成人集団(全人口[40歳以上](N=524万3479)、COPDサブグループ[40歳以上](N=13万3372))を、3つの研究コホートで調査した(全体コホート、COVID-19診断コホート、COVID-19入院サブコホート)。
定期的なICS曝露は、指標前の1年間に3回以上のICS処方と定義した。ICS曝露に関連するアウトカム(COVID-19発症、入院、ICU入室、死亡)のハザード比をCox回帰を用いて推定した。交絡因子は、Average Treatment effect in the Treated(ATT)重み付けを適用した傾向スコア法で調整した。
■ICSの定期使用は、全体コホートおよびCOPDサブコホートでは、COVID-19の発症、入院、ICU入室、死亡のごくわずかな増加に関連したが、ICU入室については関連がなかった。COVID-19診断コホートにおいては、明確なリスク増加はみられなかった。しかし、COVID-19入院COPDサブコホートでは、ICSはICU入室および死亡へに対するリスクを減少させた(ハザード比0.82 95%信頼区間0.67-0.99)。
by otowelt
| 2023-09-02 00:41
| 気管支喘息・COPD