特発性器質化肺炎の再発予防に有効なプレドニゾロン用量
2023年 08月 28日
先日下田先生のCOPの論文を紹介しましたが、本日は日本医科大学多摩永山病院の渥美健一郎先生の論文を紹介します。
■参考記事
・特発性器質化肺炎はCRPが低いと自然軽快しやすい?(URL:https://pulmonary.exblog.jp/30373490/)
私もCOPの用量を減らしていく過程で再発する患者さんを何人かかかえていますが、じわじわゆっくり減らして5mgあたりで再発したとき、「もしも急速に0mgにしていたら、もっと再発が早かったのだろうか?」という疑問をいつも抱いています。
再発規定因子は、時間なのか、用量なのか。
Atsumi K, et al. Minimal effective dose of maintenance steroid therapy for relapse of cryptogenic organizing pneumonia. Respir Med. 2023 Aug 18;107390. doi: 10.1016/j.rmed.2023.107390.
- 概要
■COPの再発を繰り返す場合、長期間のステロイド維持療法(MST)が必要となることが多いが、最適な最小用量は明らかにされていない。本研究では、再発を予防するために必要な最小限のMST投与量を評価し、再発予測因子を同定した。
■全身性ステロイド治療を受けたCOP患者の診療録を後ろ向きにレビューし、非再発群と再発群の背景因子を比較した。また、再発群の治療経過をレビューし、再発イベント時のMST用量と現在の再発予防用量に基づき、再発予防に有効な最小ステロイド用量を決定した。
■COP非再発群27例(56%)、COP再発群21例(44%)の計48例が登録された。ROC曲線に基づくと、再発群ではプレドニゾロン5mg/日が最適なカットオフ値であることが示された。再発COP患者における無再発期間は、MST用量≧5mg/日群が<5mg/日群よりも有意に長かった(P = 0.003;ハザード比0.19;95%信頼区間0.04-0.60)。
■全身性ステロイド治療を受けたCOP患者の診療録を後ろ向きにレビューし、非再発群と再発群の背景因子を比較した。また、再発群の治療経過をレビューし、再発イベント時のMST用量と現在の再発予防用量に基づき、再発予防に有効な最小ステロイド用量を決定した。
■COP非再発群27例(56%)、COP再発群21例(44%)の計48例が登録された。ROC曲線に基づくと、再発群ではプレドニゾロン5mg/日が最適なカットオフ値であることが示された。再発COP患者における無再発期間は、MST用量≧5mg/日群が<5mg/日群よりも有意に長かった(P = 0.003;ハザード比0.19;95%信頼区間0.04-0.60)。
■多変量ロジスティック回帰分析により、気管支肺胞洗浄液(BALF)中の好酸球割合およびCD4/CD8比が高いことが再発の予測因子であることが示された(それぞれ、オッズ比1.12;95%信頼区間1.02-1.23;P = 0.008、オッズ比3.87;95%信頼区間1.29-11.6;P = 0.008)。
by otowelt
| 2023-08-28 00:37
| びまん性肺疾患