ICUにおける肺化膿症の臨床的検討
2023年 09月 09日

肺化膿症の研究は少ないという話を何度かしていますが、こういうニッチな分野もデータが蓄積されてきました。
■参考記事:肺化膿症222例の臨床的特徴(URL:https://pulmonary.exblog.jp/30345182/)
Montmeat V, et al. Epidemiology and clinical patterns of Lung Abscesses in ICU: A French multicenter retrospective study. Chest. 2023 Aug 29;S0012-3692(23)05371-0.
- 概要
■肺化膿症を有する重症患者の疫学およびマネジメントに関するデータは乏しい。フランスにおける2015~2022年のICD-10に基づく後ろ向き多施設共同研究において、臨床的・微生物学的特徴を調べ、ICUでどのように管理されているか、またリスク因子は何かを調べた。
■肺化膿症のICU患者171例を解析した。78%が男性で、平均年齢は56.5±16.4歳であった。20.4%がアルコール常用者、25.2%が慢性肺疾患(14%がCOPD)、20.5%に癌既往があった。全体として40.9%が免疫不全であり、38%が院内感染に該当した。自覚症状としては、62%に疲労・体重減少、50.3%に発熱、47.4%に呼吸困難がみられた。混合感染が35.6%にみられた。最も頻度の高い病原菌は腸内細菌科31%、黄色ブドウ球菌22%、緑膿菌19.3%で、10.5%は真菌感染症だった。
■肺化膿症のICU患者171例を解析した。78%が男性で、平均年齢は56.5±16.4歳であった。20.4%がアルコール常用者、25.2%が慢性肺疾患(14%がCOPD)、20.5%に癌既往があった。全体として40.9%が免疫不全であり、38%が院内感染に該当した。自覚症状としては、62%に疲労・体重減少、50.3%に発熱、47.4%に呼吸困難がみられた。混合感染が35.6%にみられた。最も頻度の高い病原菌は腸内細菌科31%、黄色ブドウ球菌22%、緑膿菌19.3%で、10.5%は真菌感染症だった。
■臨床・放射線学的パターンのいくつかのクラスターは、菌種と関連しており、エンピリックな抗菌薬レジメンの指標となりうるものであった。11.7%に経皮的膿瘍ドレナージが行われ、12.7%に手術が行われ、12%に喀血に対する気管支動脈塞栓術が必要であった。
■ICU死亡率は21.5%であった。多変量ロジスティック回帰分析によると、年齢[オッズ比1.05(95%信頼区間1.02-1.91)、P=0.007]、ICU滞在中の腎代替療法[オッズ比3.56(95%信頼区間1.24-10.57)、P=0.019]、真菌感染[オッズ比9.12(95%信頼区間.69-34.5)、P=0.0006]が独立した死亡リスク因子であったが、ドレナージや手術は該当しなかった。
by otowelt
| 2023-09-09 00:39
| 集中治療