肺サルコイドーシス治療における低用量ステロイドと高用量ステロイドの比較
2023年 09月 25日
肺サルコイドーシスに治療を導入すべきかどうかは、明解がまだない、悩ましい問題です。現在の推奨は、概ね以下の通りです。
- ほとんどの無症候性患者には、経口ステロイド治療を開始するよりも、経過観察を推奨する。3~6か月間隔で症状と肺機能を観察し、6~12か月ごとに胸部X線検査を行う。
- 軽度の肺病変を有する有症状患者では、低用量プレドニゾン(5~10mg/日)の治療的介入が適切である。多くの場合、中用量(20mg/日)で反応性を評価し、初期治療に反応した後、低用量に漸減する。
- 重症あるいは進行性の有症状患者では、経口ステロイド内服を推奨する。通常、プレドニゾンを20~30mg/日で少なくとも4週間、最長3か月間投与し、疾患の反応をみる。
経口ステロイド治療は、観察またはプラセボと比較して胸部X線写真の透過性低下を減少させるとされています(リスク比1.46、95%信頼区間1.01-2.09)(Cochrane Database Syst Rev 2005; :CD001114.)。「無治療でもよいのでは・・・」と思うシーンもしばしばあり、publication biasがありそうな分野なので注意が必要です。
- 概要
■現在のガイドラインでは、肺サルコイドーシスの治療には経口プレドニゾロン20〜40mg/日を推奨している。高用量(40mg/日)が予後を改善するかどうかは不明である。
■医師主導の単施設非盲検並行群間ランダム化比較試験を実施した。肺サルコイドーシスを有する連続被験者を、高用量(初回投与量40mg/日)または低用量(初回投与量20mg/日)の経口プレドニゾロンをそれぞれ6か月かけて漸減する群に1:1にランダムに割り付けた。主要評価項目はランダム化から18か月後の再発または治療失敗の頻度であった。主な副次的評価項目は、再発または治療失敗までの期間、全奏効率、6か月後および18か月後のFVC変化、治療に関連した副作用、サルコイドーシス質問票および疲労評価尺度を用いた健康関連QOL(HRQoL)スコアなどである。
■登録患者は86例(各群43例ずつ)であった。高用量群では42例、低用量群では43例が治療を完了し、それぞれ37例(86.0%)、41例(95.3%)が18か月の追跡調査を完了した。高用量群では20例(46.5%)、低用量群では19例(44.2%)に再発または治療失敗が確認された(p=0.75)。再発/治療失敗までの平均期間は両群間で同程度であった(高用量307日 vs 低用量269日、p=0.27)。全奏効率、6か月後および18か月後のFVC変化、副作用の発現率も同様であった。HRQoLスコアの変化も両群間に差はなかった。
■医師主導の単施設非盲検並行群間ランダム化比較試験を実施した。肺サルコイドーシスを有する連続被験者を、高用量(初回投与量40mg/日)または低用量(初回投与量20mg/日)の経口プレドニゾロンをそれぞれ6か月かけて漸減する群に1:1にランダムに割り付けた。主要評価項目はランダム化から18か月後の再発または治療失敗の頻度であった。主な副次的評価項目は、再発または治療失敗までの期間、全奏効率、6か月後および18か月後のFVC変化、治療に関連した副作用、サルコイドーシス質問票および疲労評価尺度を用いた健康関連QOL(HRQoL)スコアなどである。
■登録患者は86例(各群43例ずつ)であった。高用量群では42例、低用量群では43例が治療を完了し、それぞれ37例(86.0%)、41例(95.3%)が18か月の追跡調査を完了した。高用量群では20例(46.5%)、低用量群では19例(44.2%)に再発または治療失敗が確認された(p=0.75)。再発/治療失敗までの平均期間は両群間で同程度であった(高用量307日 vs 低用量269日、p=0.27)。全奏効率、6か月後および18か月後のFVC変化、副作用の発現率も同様であった。HRQoLスコアの変化も両群間に差はなかった。
by otowelt
| 2023-09-25 00:53
| サルコイドーシス