ANCA関連血管炎に対する気管支鏡
2023年 09月 29日
AAVの際、気管支鏡生検が有用かどうかという論文ですが、本当に必要かどうか。炎症、充血あたりは咳嗽やカメラの接触でも容易に起こり得るので、判断が難しいところです。
Villeneuve T, et al. Role of bronchoscopy for respiratory involvement in granulomatosis with polyangiitis and microscopic polyangiitis. ERJ Open Res. 2023 Sep 11;9(5):00141-2023.
- 概要
■この研究では、ANCA関連血管炎(AAV)の診断時に行われた気管支鏡検査について述べる。
■MPAまたはGPAと診断され、発症時に気管支鏡検査を受けた>18歳の患者を対象に、2004年から2019年にかけて後ろ向き観察研究を実施した。気管支鏡検査で得られた気管支肺胞洗浄(BAL)と組織所見を収集した。
■274例のAAV患者に行われた92件の気管支鏡検査のうち、62件が診断時に施行され、最終的に58件が解析対象となった。咳嗽はGPAよりもMPA患者で頻度が高かった(p=0.02)。気管支内病変の存在(24.1%)は、GPA(p<0.0001)およびPR3-ANCA(p=0.01)と有意な関連が観察された。
■274例のAAV患者に行われた92件の気管支鏡検査のうち、62件が診断時に施行され、最終的に58件が解析対象となった。咳嗽はGPAよりもMPA患者で頻度が高かった(p=0.02)。気管支内病変の存在(24.1%)は、GPA(p<0.0001)およびPR3-ANCA(p=0.01)と有意な関連が観察された。
■最も頻度の高い気管支内病変は、気管支粘膜の炎症と充血(50%)であり、次いで狭窄(28%)、潰瘍(21%)、腫瘤様肉芽腫(7%)であった。気管支生検による診断率は、可視病変に対して有用であった(66.6% vs 0%;p=0.006)。BALでは、びまん性肺胞出血(DAH)が31例(53.4%)で検出され、MPA患者で頻度が高かった(70.4% vs 38.7%;p=0.016)。DAH症例の16.1%は、臨床的な所見がないにもかかわらず、BALで診断がついた。BALでの微生物感染の発生率(38%)は、MPAとGPAで同程度であった(p=0.54)。
by otowelt
| 2023-09-29 01:51
| 膠原病