MACのアミカシンMIC:Middlebrook 7H9とCAMHBの比較
2023年 09月 22日
慶應義塾大学の森田先生らの報告を読みました。
現在、遅発育菌に対しては極東製薬のブロスミックSGMが、迅速発育菌に対してはブロスミックRGMが使われます。これまで使用されていたブロスミックNTMは、培地がMiddlebrook 7H9であり、CLSIの推奨にそぐわない上、アミカシンのMICレンジがアミカシンの感受性判定に及ばないことが分かっています。ブロスミックSGMは、陽イオン調整Mueller-Hinton Broth (CAMHB)+ 5% OADCを用いており、アミカシンのMICレンジは256µg/mLまで判定可能です(さすがに256まで要らない気がしますが、いくらまで刻んでいただいても参考にはなります)。
慶應義塾大学病院におけるM. avium 28株、M. intracellulare5株の検討では、7H9のほうが過大に感受性解釈されやすいという結果になっています。全体の58%において、CAMHBよりも7H9でアミカシンのMICが低いという結果でした。また、アミノグリコシド使用歴がある場合、10株中ALIS耐性が3株ということなので、アミノグリコシド使用歴があるケースではなおさら適切な感受性検査を実施すべきと考えられます(使用歴がないからブロスミックNTMでよいというわけではありません)。
現在極東製薬ではブロスミックSGMとブロスミックNTMが併販されていますが(1年程度で後者を終了するとうかがっています)、MICを適切に判定できないため注意が必要です。
呼吸器内科臨床では、このテーマよりも、M. abscessusと同定できているのにブロスミックRGMが提出されていないことのほうが問題かもしれません。
by otowelt
| 2023-09-22 11:55
| 抗酸菌感染症