肺MAC症における細菌共感染の影響
2023年 10月 01日
複十字病院の論文アクティビティが高すぎて、感動しかない。
実臨床でもMAC以外の細菌感染症を合併しているケースは多々ありますが、そういった場合に肺MAC症治療そのものが開始されにくく、気管支拡張症の増悪を起こす可能性があるという啓蒙的な論文になっています。
Ito M, et al. Multiple bacterial culture positivity reflects the severity and prognosis as bronchiectasis in Mycobacterium avium complex pulmonary disease. Respir Med. 2023 Sep 27;107417.
- 概要
■肺MAC症の患者の19~66%において、罹患中細菌の重複感染が確認される。診断時の細菌重複感染が肺MAC症の臨床経過に及ぼす影響については報告されていない。
■2016年1月~2020年12月に肺MAC症と診断された患者558例のうち、診断前後1年以内に喀痰細菌培養検査を2回以上受けた患者218例を対象とした。同一細菌が2回以上検出された患者(細菌培養陽性群:BCP群)と、細菌培養が一度も陽性にならかった患者(細菌培養陰性群:BCN群)との間で、患者特性および疾患経過を比較した。
■本研究では、BCP群70例、BCN群74例を対象とした。胸部X線所見では、診断時のBCPは修正Reiffスコアが高いことと相関していた。中央値42か月の追跡期間中、BCP群の患者はMACの自然培養陰性化を達成する可能性が高かった。
■2016年1月~2020年12月に肺MAC症と診断された患者558例のうち、診断前後1年以内に喀痰細菌培養検査を2回以上受けた患者218例を対象とした。同一細菌が2回以上検出された患者(細菌培養陽性群:BCP群)と、細菌培養が一度も陽性にならかった患者(細菌培養陰性群:BCN群)との間で、患者特性および疾患経過を比較した。
■本研究では、BCP群70例、BCN群74例を対象とした。胸部X線所見では、診断時のBCPは修正Reiffスコアが高いことと相関していた。中央値42か月の追跡期間中、BCP群の患者はMACの自然培養陰性化を達成する可能性が高かった。
■BCP群における肺MAC症の治療開始率は、BCN群よりも低かった(41.4% vs 67.6%、P = 0.003)。特に緑膿菌を合併している症例では治療開始率が極端に低かった。BCP群では最初の気管支拡張症増悪までの期間がBCN群よりも短く、気管支拡張症増悪の頻度はBCP群で高かった。
by otowelt
| 2023-10-01 02:15
| 抗酸菌感染症