ST合剤による血小板減少症
2023年 11月 03日
ST合剤による血小板減少症は通常1週間~10日後に発現するとされています(Int J Toxicol 2021;40:542–50、J Clin Med 2020;9:2212)。
個人的に困ったことがないのですが、血小板数減ってきたなと思う閾値が高いのでしょうか。注意しておきます。
実臨床では頻度的にクレアチニン上昇のほうが問題視されがちですが、これはトリメトプリムがクレアチニンの排泄を減らすことが原因です。糸球体濾過量とは関係ないとされています。全部がそうじゃないでしょうけど。
- 概要
■近年、PCPの発症が懸念されており、予防がますます重要である。ST合剤は、PCPの第一選択および予防薬として費用対効果が高い治療法である。
■PCP予防のためのST投与基準は不明確なままであり、有害事象のために中止されることが多い。本研究では、客観的データを用いてST合剤中止の原因および関連する有害事象を調査することを目的とした。
■2018年1月~2020年12月までに関西医科大学病院に入院し、PCP予防のためにST合剤を投与された患者162例のデータを後ろ向きに解析した。ST合剤非中断群とST合剤中止群の間で臨床的特徴、検査データ、有害事象の発生率を比較した。
■ST合剤投与中にPCPを発症した患者はいなかった。ST合剤中止の原因として最も多かったのは、血小板減少(37%)、肝機能障害(20%)、発疹(18%)であった。多変量解析により、血小板減少症(グレード1以上)がST合剤中止と有意に関連する因子であることが明らかになった。さらに、血小板減少(Grade 1以上)と相関する因子として、年齢50歳以上、リンパ球数1000/μL未満、血小板数18万/μL未満の3因子が同定された。
■年齢50歳以上、リンパ球数1000/μL未満、血小板数18万/μL未満の3因子の因子を有する患者は、PCP予防のためのST合剤投与中に血小板減少症(≧グレード1)を発症するリスクが高い。したがって、ST合剤の安全性と有効性を高めるためには、血小板数のモニタリングが不可欠である。
by otowelt
| 2023-11-03 00:01
| 感染症全般