NB型肺MAC症に対する間欠レジメン vs 連日レジメン

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日本結核・非結核性抗酸菌症学会からの指針にあるように、結節気管支拡張(NB)型の肺MAC症においては、標準治療の間欠レジメン(通常週3回:TIW)が代替レジメンB法として提示されています。これは、国際ガイドラインでも同様です。TIWのメリットは薬剤曝露量の低減、ひいては副作用の軽減にあります。

推奨の元となったJeongらの報告は、NB型肺MAC症において間欠レジメンと連日レジメンで治療された患者さんの喀痰陰性化率が同程度であったと報告しています(67% vs 76%;P = 0.154)(Am J Respir Crit Care Med. 2015; 191:96–103.)。これにおいて、間欠レジメンで治療された場合、治療開始時に喀痰抗酸菌塗抹陽性であった場合、治療成績が有意に不良であることが示されています(調整オッズ比2.312、95%信頼区間1.038-5.151)。筆者らは、この喀痰抗酸菌塗抹ステータスについて検討がなされていないことを重要視し、今回の研究結果を報告するにいたりました。

空洞があるタイプはTIWは適用できませんが、今回の報告では、NB型であっても喀痰塗抹陽性例についてはTIWは適用されるべきでないという結論にいたります。となると、TIWが生き残る道は喀痰塗抹陰性例のNB型というニッチな集団になる可能性があるわけですが・・・。

ただ、今回の結果は単施設後ろ向きということで、エビデンスとしてはいささか限定的なものです。副作用のデータも不明です。

日本ではTIWの多施設共同研究結果が報告される見込みです。今後の研究結果を見据えて臨床的に判断していく必要があります。




  • 概要
■この研究は、韓国の3次医療機関において、3剤併用経口レジメン(マクロライド、エタンブトール、リファンピン)による間欠的または連日治療を受けた非空洞・結節型気管支拡張肺Mycobacterium avium complex症患者110人の治療成績を後ろ向きに解析したものである。

■治療期間が1年未満、治療途中でエタンブトールやリファンピンを中止した患者を除外し、合計110人の患者が登録された。平均年齢は62.7±9.1歳で、70.9%が女性だった。

■喀痰抗酸菌塗抹陽性は32.7%(36/110)で確認された。合計57例(51.8%)と53例(48.2%)の患者が、それぞれ間欠治療と連日治療を受けていた(治療期間中央値14.0か月 [IQR 13.2~14.7ヵ月] および14.5か月 [IQR13.5~16.4ヵ月])。

■コホートにおける治療完了時の培養陰性化率は80.0%(88/110)であった。培養陰性化を達成した患者は、間欠治療群の方が連日治療群よりも有意に低かった(それぞれ70.2% [40/57例] vs 90.6% [48/53例];P = 0.008)。塗抹陽性36人の患者のうち、間欠治療群は連日治療群よりも培養陰性化率が低かった(50.0% [8/16] vs 85.0% [17/20]、P = 0.034)。塗抹陰性患者では、培養陰性化率は間欠治療群と連日治療群で有意差はなかった(78.0% [32/41] vs 93.9% [31/33];P = 0.098)。






by otowelt | 2023-10-18 00:54 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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