UKSARコホート:臨床的寛解を満たす重症喘息患者の特徴


自己注射が可能になるまでは8週間ごとのファセンラをよく使っていました。

生物学的製剤の効果はタイプ2バイオマーカーが高い症例ほどドラスティックで、好酸球性中耳炎で難聴だった人の聴力が戻ったり、好酸球性副鼻腔炎でにおいがなかった人の嗅覚が戻ることはザラです。何十人か処方していますが、効果はまあホントに凄いと思います。

さて、「生物学的製剤は高額になります」と医師から抑制気味にマネジメントされ、ふたを開けてみたら自己負担額が月額思ったより少ない重症喘息の患者さんもいます。「多少高くても、人生がこれほど変わるなら、早く自己注射したかった」とおっしゃる方も多いです。

日本の「臨床的寛解」はPGAM2023で定義されております。基本的には「1年以上元気」という理解でよいでしょう。欧米では肺機能が重視されていますので、少し異なります。今回感度解析では7種類の臨床的寛解が検討されていますが、今後、国際的にもコンセンサスを定義する必要があるでしょう。

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  • 概要
■生物学的製剤による治療は、重症喘息のマネジメントに革命をもたらし、より野心的な治療目標が設定されている。ここでは、推奨される治療目標としての「臨床的寛解」の定義を分析し、実際の重症喘息コホートにおける臨床的寛解に関連する特徴を考察する。

■UK Severe Asthma Registry(UKSAR)に登録された重症喘息患者のうち、生物学的製剤に対する基準を満たした患者を後ろ向きに解析した。患者は生物学的製剤投与前のベースライン評価と年ごとにレビューを受けた。「臨床的寛解」の定義には、ACQ<1.5、疾患コントロールのためのOCSなし、1秒量≧LLNまたはベースラインの生物学的製剤投与前のFEV1より100mL以上低下していないことが含まれた。

■18.3%の患者が臨床的寛解を達成した。生物学的治療による寛解の調整オッズは、T2バイオマーカーが高値の患者で7.44倍高かった(95%信頼区間1.73-31.95)。女性(オッズ比0.61、95%信頼区間0.45-0.93)、肥満(オッズ比0.49、95%信頼区間0.2-0.65)、ACQ≧1.5(オッズ比0.19、95%信頼区間0.12-0.31)の患者では、生物学的治療前の寛解オッズは低かった。

■臨床的寛解の可能性は、罹病期間が10年延長するごとに14%減少した(95%信頼区間0.7-0.97)。

■臨床的寛解を達成したコホートは、適用した定義(感度解析にて7種類策定)によって12〜21%で、寛解を達成しなかった患者のほとんどは複数の基準を満たさなかった。





by otowelt | 2023-11-06 00:09 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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