肺NTM症に対するオマダサイクリン

ケースレポートばかりだった肺NTM症に対するオマダサイクリンにまとまった報告が出てくるようになりました。菌種を統一いただくとありがたいですが。現時点で得られるエビデンスからは、オマダサイクリンの約2～3割に消化器系の副作用が出現するとされています。投与1か月目あたりに注意といったところでしょうか。点滴オマダサイクリンは使用されていないようです。そりゃそうですね。

■参考記事：Mycobacterium abscessus症に対するオマダサイクリンの忍容性（URL：https://pulmonary.exblog.jp/30397294/）

■参考記事：Mycobacterium abscessusに対するオマダサイクリンと他剤のin vitroシナジー効果（URL：https://pulmonary.exblog.jp/30327086/）

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Ghali AE, et al. Long-term evaluation of clinical success and safety of omadacycline in nontuberculous mycobacteria infections: a retrospective, multicenter cohort of real-world health outcomes. Antimicrob Agents Chemother . 2023 Oct 18;67(10):e0082423.

• 概要

■NTM症は罹患率が増加し続けており、臨床的に問題となる転帰不良を招いている。オマダサイクリン（OMC）はアミノメチルサイクリン系抗菌薬であり、M. abscessusを含む肺NTM症におけるFDAの希少疾病用医薬品およびファストトラック指定を受けている。

■2020年1月から2023年3月まで、アメリカの16医療機関を対象とした多施設後ろ向き研究において、NTM症に対するOMCの長期（3か月時点）の臨床的成功、安全性、忍容性を検討した。コホートに、年齢18歳以上で臨床評価可能であり、嚢胞性線維症の診断歴がなく、OMCによる治療を3か月以上受けた患者を組み入れた。プライマリアウトカムは3か月後の臨床的成功で、セカンダリアウトカムには6か月後および12か月後の臨床的改善、死亡率、感染持続または再燃、副作用、OMC使用の理由などが含まれた。

• 臨床的成功：3か月時点における生存、臨床医評価による臨床的改善、治療失敗あるいは有害事象によるOMC治療変更なし、微生物学的再発なし

■75例の患者が組み入れられた。ほとんどの患者は女性（48/75、64.0％）または白人（58/75、77.3％）で、年齢中央値（IQR）は59歳（49-67）であった。ほとんどが肺NTM症（33/75、44.0％）、皮膚・軟部組織感染症（19/75、25.3％）、骨髄炎（10/75、13.3％）を有しており、M. abscessus（60/75、80％）が最も多く分離されたNTMで、M. chelonae（12.0％）、MAC（9.4％）、M. fortuitum（5.3％）と続いた。M. abscessusのうち、71.4％がsubspecies abscessus、25.7％がsubspecies massilienseだった。

■OMCを使用した主な理由は、投与の簡便性（48/75、64％）、経口バイオアベイラビリティ（41/75、54.7％）、他剤に対する耐性（34/75、45.3％）、治療失敗の既往（22/75、32％）であった。OMCは全例に経口投与された。このうち88.0％（66/75例）には維持量として300mg/日が投与されたが、9.3％（7/75例）には150mg/日が投与された。

■OMCの治療期間の中央値（IQR）は6か月（4～14か月）で、最も多く併用された抗生物質はアジスロマイシン（33/70、47.1％）であった。3か月後の臨床効果は80.0％（60/75例）だった。培養陰性化は43例 (82.7％)だった。

■二変量解析において、肺NTM症、NB型、慢性咳嗽は有意な臨床的失敗の予測因子であった。

■OMCに起因する有害事象は32.0％（24/75例）に発現し、9.3％（7/75例）が投与中止に至った。

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