慢性肺アスペルギルス症の診断にBALF中アスペルギルスPCRは有効か?

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慢性肺アスペルギルス症(CPA)における拡散増幅検査は、UpToDate(Chronic pulmonary aspergillosis: Epidemiology, clinical manifestations and diagnosis)にも書かれているように、喀痰は言わずもがな、BALFでさえrule inが厳しい状況とされています。どうにかBALFの検査に活路を見出そうとしているわけですが、今回の210例の報告においても、ガラクトマンナン抗原以上の有用性はなさそうです。

CPAの診断については、8月にパブリッシュされたScharmannらの総説が非常によくまとまっていると思います(Diagnostics (Basel) . 2023 Aug 21;13(16):2718.)。




  • 概要
■慢性肺アスペルギルス症(CPA)の診断は、臨床、放射線、微生物学的基準の組み合わせによって確立される。さまざまな微生物学的基準のうち、アスペルギルス特異IgGの血清学的陽性が診断の基礎となる。あるいは、アスペルギルス抗原、生検などの病理組織学的証明、直接検鏡による菌糸証明など、他の微生物学的証拠が求められることもある。しかし、BALFにおけるガラクトマンナン抗原と拡散増幅検査の役割は不透明である。

■本研究では、CPAが疑われる患者210例を登録した。参加者のうち、88例がCPAの基準を満たしたが、122例は別の診断であった。

■AsperGenius® PCRの感度は52.27(36.69-67.54)%、特異度は33.78(23.19-45.72)%だった。自社製PCRの感度は36.36(22.41-52.23)%、特異度は39.19(28.04-51.23)%であった。

■BALFにおけるガラクトマンナン抗原(>1.0)の感度と特異度はそれぞれ46.55%(33.34-60.13)、64.08%(54.03-73.3)で、血清ガラクトマンナン抗原(>1.0)の感度と特異度はそれぞれ29.82%(22.05-37.6)、86.84%(81.1-92.59)であった。

■CPA診断におけるBALF-ガラクトマンナンと血清ガラクトマンナンの最適カットオフ値は、それぞれ0.69(感度:64%、特異度:53%)と0.458(感度:67%、特異度:64%)であった。





by otowelt | 2023-10-27 00:58 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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