アリケイスの嗄声を減らす最適な吸入時間帯は?

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たまには自分の論文でも紹介させてください。

日本結核・非結核性抗酸菌症学会が策定したガイドラインでは、発声障害を管理するために「夜間に吸入する」と記載されていますが、この推奨は小規模なアンケート結果に基づいていおり、エビデンスはありません。

アリケイスを午後遅くまたは夜間に吸入すると、うがいだけでは除去できないため、喉頭残存アリケイスによって夜間に嗄声が悪化する可能性があるのでは・・・という懸念があります。

喘息に対する吸入ステロイドと同様に、食前吸入をすることで食事時に胃内に薬剤移行が起こり(Tuberc Respir Dis (Seoul) 2012;73(2):93–99.)、咽喉頭の薬液残存を減らすという仮説を検証したものになります(シンチグラフィを使ってやりたかったのですが、設備投資が・・・)。




Kurahara Y, et al. Management of dysphonia caused by amikacin liposome inhalation in M. avium complex pulmonary disease. Int J Tuberc Lung Dis. 2023;27(11):872-873.


  • 概要
■2021年7月から2023年4月までにALIS(590mg)(アリケイス)を用いて治療を受けた肺MAC症患者33例を対象とした後ろ向き観察研究を近畿中央呼吸器センターにおいて実施した。

■肺MAC症でALIS適格となった患者は、入院にて技術的な指導をおこない、製造元の推奨に基づき、患者には吸入後のうがい、トローチの使用、1日1回決まった時間に吸入を行うよう指導した。吸入の正確な時間は指定しなかったが、すべての患者は午後遅くか夜間に吸入するよう指示されていた。

■33例のうち、患者は女性が多く(81.8%)、年齢中央値は72歳(IQR68~75)であった。ALISによる治療期間の中央値は172日(IQR 46-359日)であった。ALIS投与開始後、中央値10日(IQR 7.75-12.25)後に16/33例(48.5%)に発声障害が発生した。5人が失声を経験し、11人が軽度の嗄声だった。発声障害を呈した5人の患者は、主治医の判断で喉頭ファイバーを受けたが、このうち4人に声帯浮腫と充血が確認された。

■このコホートは、発声障害を主治医が管理していた。すべての患者は、吸入後のうがいとトローチの使用をすでに指示されていた。そのため、軽度の発声障害を我慢しながらALISを継続するか、ALISを中止するか、吸入の頻度を減らすか、吸入の時間帯を変更するかの選択肢があった。

■発声障害のある16人の患者のうち、7人は間欠吸入を試し、5人は朝食前の吸入を試し、2人はこれら両方のアプローチを試した。興味深いことに、朝食前の吸入を試した7人の患者全員において、発声障害の速やかな改善が観察された。






by otowelt | 2023-10-30 00:40 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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