ICONIC試験:ICU患者における酸素飽和度目標値

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ICONIC試験は夏頃に話題になった論文ですが、このブログでは読んでいないことになっていたので、改めて記録させていただきます。

高酸素化戦略は、重症度を調整しても死亡リスクが増加するのではないかとされていたことから(Crit Care. 2008;12:R156.)、基本的に酸素投与については「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という見解になっていました。




van der Wal L, et al. Conservative versus Liberal Oxygenation Targets in Intensive Care Unit Patients (ICONIC): A Randomized Clinical Trial. Am J Respir Crit Care Med. 2023 Oct 1;208(7):770-779.

  • 概要
■酸素投与はICU患者に広く行われているが、適切な酸素濃度の目標値は不明確なままである。本研究は、「低酸素化戦略」が「高酸素化戦略」と比較して28日死亡率を低下させるかどうかを検証した。

■多施設共同ランダム化試験は、人工呼吸器装着期間が24時間以上と予想される人工呼吸器を装着したICU患者を対象とした。患者はICU退院またはランダム化後28日のいずれか早い日まで、低酸素化(PaO2 55~80mmHgあるいはパルスオキシメーターで測定した酸素飽和度91~94%)または高酸素化(PaO2 110~150mmHgあるいはパルスオキシメーターで測定した酸素飽和度96~100%)の戦略に1:1の割合でランダムに割り付けられた。主要アウトカムは28日死亡率であった。

■COVID-19パンデミックのため、予定された1,512例のうち664例が組み入れられた時点で試験は早期に中止された。2018年11月から2021年11月の間に、合計664例の患者が試験に組み入れられた(低酸素化戦略群335例、高酸素化戦略群329例)。達成PaO2 中央値は、低酸素化戦略群で75mmHg(IQR70~84)、高酸素化戦略群で115mmHg(IQR100~129)であった。28日目の時点で、低酸素化戦略群では129例(38.5%)、高酸素化戦略群では114例(34.7%)が死亡した(リスク比1.11;95%信頼区間0.9-1.4;P = 0.30)。少なくとも1件の重篤な有害事象が、低酸素化戦略群で12例(3.6%)、高酸素化戦略群で17例(5.2%)に報告された。





by otowelt | 2023-11-17 00:39 | 集中治療

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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