自己免疫性肺胞蛋白症に対する全肺洗浄+GM-CSF吸入療法
2023年 12月 17日
9例 vs 9例なので、途中までは「統計解析については参考程度だろうか」と思ったのですが、レスキューWLLが必要だったのがGM-CSF吸入群の1人だけだったので、有効なのだろうという確信度は高いです。
Campo I, et al. Inhaled GM-CSF reduces the need for whole lung lavage and improves gas exchange in autoimmune PAP patients. Eur Respir J. 2023 Nov 16:2301233.
- 概要
■全肺洗浄(WLL)は、自己免疫性肺胞蛋白症(aPAP)の緩和治療として広く受け入れられているが、骨髄細胞の機能障害を改善したり、サーファクタントの蓄積を改善させるものではない。反面、遺伝子組換えGM-CSF吸入は、サーファクタントのクリアランスをもたらし肺胞マクロファージ機能を回復させる有望な薬理学的アプローチである。ここでは、WLL後にGM-CSF(サルグラモスチム)を吸入するaPAP治療について評価した。
■中等症~重症のaPAP患者18人が登録され、ベースラインでWLLを受けた後、GM-CSF群とコントロール群にランダムに割り付けられWLL後30か月間追跡された。アウトカム評価には、病勢進行による予定外のレスキューWLLの実施、動脈血液ガス分析、肺機能検査、胸部CT、健康ステータス、バイオマーカー、有害事象が含まれた。レスキューWLLを必要とした患者は、割り当てられた介入群が不成功であったとみなされた。
■中等症~重症のaPAP患者18人が登録され、ベースラインでWLLを受けた後、GM-CSF群とコントロール群にランダムに割り付けられWLL後30か月間追跡された。アウトカム評価には、病勢進行による予定外のレスキューWLLの実施、動脈血液ガス分析、肺機能検査、胸部CT、健康ステータス、バイオマーカー、有害事象が含まれた。レスキューWLLを必要とした患者は、割り当てられた介入群が不成功であったとみなされた。
■プライマリエンドポイントである初回レスキューWLLまでの期間は、GM-CSF投与群でコントロール群より長かった(30か月 vs 18か月、n=9/群、p=0.0078)。レスキューWLLを必要としたのは、コントロール群では7例(78%)であったのに対し、GM-CSF投与群では1例(11%)のみであり、相対リスクは7倍に上昇した(p=0.015)。コントロール群に比べ、GM-CSF投与群ではPaO2、A-aDO2、%DLco、バイオマーカーの改善も大きかった。各群から1人の患者が個人的な理由で脱落した。重篤な有害事象は報告されなかった。
by otowelt
| 2023-12-17 00:22
| びまん性肺疾患