BACESスコア別の肺MAC症の自然培養陰性化率


BACES軽症群において、watchful waitingの妥当性が示された論文です。中等症群で37%、重症群で24%という結果ですが、もう少し評価項目を広げると「やはり治療すべきか」と感じるシーンは多くなると思います。微生物学的評価は重要なのですが、それに偏らないスタンスも必要かもしれません。2019年に、watchful waitingによる培養陰性化率は52.2%で肺MAC症全体の21.6%という報告があります(Respir Med. 2019 Apr;150:45-50.)。

今回の研究の概要は以下の通りです。
BACESスコア別の肺MAC症の自然培養陰性化率_e0156318_10132588.png
. 文献をもとに作成



Kim BG, et al. Spontaneous Cultural Conversion Rate of Mycobacterium avium Complex Pulmonary Disease Based on BACES Severity. J Clin Med. 2023 Nov 16;12(22):7125.

  • 概要
■肺MAC症における自然培養陰性化(watchful waiting後の培養陰性化)の予測に役立つ臨床因子はわずかである。本研究では、肺MAC症において重症度によって自然培養陰性化の発生率が異なるかどうかを評価した。

■抗菌薬を投与せずにwatchful waitingを行った肺MAC症373例を後ろ向きに解析し、BMI、年齢、空洞、赤沈、性別(BACES)スコアによる重症度評価に基づいて自然培養陰性化率を評価し、その関連因子を分析した。

■373例中、153例(41%)が中央値48.1か月の追跡期間中に抗菌薬なしで培養陰性化を達成した。BACES重症度が低い患者ほど陰性化率が高い傾向がみられ、軽症群では48%(87/183例)、中等症群では37%(58/157例)、重症群では24%(8/33例)となった。

■培養陰性化の維持または最終追跡時までの連続2回陰性と定義される良好な転帰に関しても、軽度、中等度、重度のBACES群でそれぞれ53%(97/183例)、34%(54/157例)、18%(6/33例)と、BACES重症度が低い患者で多かった。

■多変量解析をおこなうと、良好な転帰に関して、中等症BACES(ハザード比0.63;95%信頼区間0.44-0.91;p = 0.013)および重度BACES(ハザード比0.37;95%信頼区間0.16-0.90;p = 0.028)は、軽症BACESと比較して有意に負の影響を及ぼした。





by otowelt | 2023-11-29 00:59 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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