IPF急性増悪に対するステロイドパルス療法 vs 非パルス療法
2023年 12月 23日
日本におけるステロイドパルス療法は、メチルプレドニゾロン1,000mg/dayのことがまだまだ多く、国際的な250mg/dayという線引きとは差があります。IPF急性増悪時における高用量メチルプレドニゾロンにはほとんどエビデンスがなく、高用量がエクスキューズのような位置づけになっているのも気がかりです。
- 概要
■全身性ステロイドは、特発性肺線維症の急性増悪(AE-IPF)の治療に一般的に使用されている。しかし、ステロイドの至適初期投与量は、十分なエビデンスがないため依然として不明である。われわれは、パルス用量の全身性ステロイド投与が、従来の非パルス用量の全身性ステロイドと比較して、生存転帰の改善につながるかどうかを評価した。
■2013年1月から2021年12月までに3次医療機関で全身性ステロイド治療を受けたAE-IPF患者238例を後ろ向きに分析した。AE-IPFで入院後7日以内にステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン250mg/日以上または相当量)を行ったかどうかに基づいて、患者をパルス療法群と非パルス療法群に分けた。多変量回帰分析および傾向スコアマッチ分析を用いて、両群間の生存転帰を比較した。
■238人の患者のうち、59人がパルス用量、179人が従来の非パルス用量に該当した。ベースラインの臨床的およびX線写真の重症度に関連する交絡因子を調整した後、従来の非パルス療法と比較して、ステロイドパルス療法は3か月後(調整ハザード比0.84、95%信頼区間0.45-1.38)または12か月後(調整ハザード比0.96、95%信頼区間0.60-1.25)の追跡調査において死亡リスクを低下させなかった。傾向スコアマッチ解析でも同様の結果が得られた。
by otowelt
| 2023-12-23 00:10
| びまん性肺疾患