COPDにおけるビソプロロールは心不全の有無を問わず有効

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呼吸器領域で使用するβ遮断薬はもっぱらビソプロロールと決まっていますが、そのビソプロロールが循環器系とは関係なくCOPDに有効とする報告です。

心不全がなくとも、COPD患者における心負荷と酸素消費量を減少させ、気道過敏性を改善し、気管支拡張薬の効果を向上させる可能性があります。そのメカニズムとして炎症性バイオマーカーを解析したわけですが、IL-6、IL-8、CRPを有意に低下させることが示されています。ビソプロロール自体に一定の抗炎症作用があるということを意味しています。



Feng Z, et al. Efficacy and Safety of Bisoprolol in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis . 2023 Dec 23:18:3067-3083.

  • 概要
■このシステマティックレビューおよびメタアナリシスは、PRISMAに従って実施され、ビソプロロールが肺機能(FEV1、FEV1%、FVC)、6分間歩行距離(6MWD)、有害事象、炎症性サイトカイン(IL-6、IL-8、CRP)に与える影響を調べた。

■35の研究が対象となり、合計3269人が研究に参加した(ビソプロロール群1650人、対照群1619人)。COPD患者の肺機能に対するビソプロロールの効果は、FEV1(平均差0.46[95%信頼区間0.27~0.65]、P=0.000)、FEV1%(平均差-0.64[95%信頼区間0.42~0.86]、P=0.000)、FVC(平均差0.20[95%信頼区間0.05~0.34]、P=0.008)で、いずれも統計学的に有意な結果を示した。COPD患者の6MWDに対するビソプロロールの効果についても有意な結果を示した。

■ビソプロロールを投与されたCOPD患者における有害事象の発生は、リスク比0.83[95%信頼区間0.54~1.26]、P=0.382で統計学的有意差は認められなかった。COPD患者の炎症性サイトカインに対するビソプロロールの効果は、IL-6(平均差-1.16[95%信頼区間-1.67~-0.65]、P=0.000)、IL-8(平均差-0.94[95%信頼区間-1.32~-0.56]、P=0.000)、CRP(平均差-1.74[95%信頼区間-2.40~-1.09]、P=0.000)であり、統計学的に有意であった。

■心不全の有無により各アウトカム指標のサブグループ解析を行った結果、COPDに対するビソプロロールの治療効果は心不全の有無により変化しないことが示された。






by otowelt | 2024-01-14 00:15 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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