自己免疫性肺胞蛋白症に合併しやすい感染症は肺ノカルジア症
2023年 12月 31日
PAPにノカルジア症を合併しやすいことは以前から知られていました(Am J Respir Crit Care Med 2002 ; 166 : 215-235.)。ただ、日本ではそこまで多くなさそうで、出版バイアスがあるのかなと思われてきました。今回のThoraxに報告されたフランスとベルギーのコホートでは、やはりノカルジア症が多いという見解です。
- 概要
■自己免疫性肺胞蛋白症(aPAP)はまれな疾患であり、感染症のリスクが高い。このような感染症の全貌は明らかにされていない。この研究では、aPAPと診断された患者の特徴と臨床転帰を明らかにし、日和見感染に関連する危険因子を同定した。
■フランスとベルギーで2008年から2018年の間にaPAPと診断された全患者を含む後ろ向きコホートを実施した。データは、背景、併存疾患、画像特徴、転帰、微生物学的データを含む標準化された質問票を用いて収集した。
■104例の患者を対象とした。全体の2/3が男性で、診断時の年齢中央値は45歳であった。追跡期間中央値は3.4年(IQR 1.7-6.6年)で、60例(58%)が少なくとも1回の感染症を発症し、そのうち23例(22%)が日和見感染症であった。同定された病原微生物で主なものはNocardia属だった(n=10)。35例(34%)が感染症により入院した。
■単変量解析では、性別の男性は日和見感染と関連していた(p=0.04、オッズ比3.88;95%信頼区間1.02~22.06)。診断時のGM-CSF抗体価は、ノカルジア症を発症した患者で有意に高かった(1058(316~1591) vs 580(200~1190)、p=0.01)。9例の患者が死亡したが(9%)、感染に関連した死亡は1例のみであった。
by otowelt
| 2023-12-31 21:27
| びまん性肺疾患