抗結核薬による肝障害に対するビシクロール
2024年 01月 25日
ビ・シフロールかと一瞬思ったのですが、そんなわけありませんでした。ビシクロールは、中国ではウイルス性肝炎に対しても用いられているそうです。あまり知りませんスイマセン。作用機序としては、オートファジーを誘導し、PI3K/AKTおよびMEK/ERK経路から細胞増殖を阻害するそうですが、なんかいまいちピンときません。
肝障害は、2週間以内の場合はほとんどがピラジナミドで、しばらくしてからイソニアジドとリファンピシンが多くなります。ビシクロールが薬剤の種類を問わず効果があるのかどうか不明ですが、抗結核薬を休薬した後の「戻り」が早いなら、ウルソよりも利用価値はあるのかもしれませんが。
Du Y, et al. Efficacy and safety of bicyclol for treating patients with antituberculosis drug-induced liver injury. Int J Tuberc Lung Dis . 2024 Jan 1;28(1):6-12.
- 概要
■ビシクロール(Bicyclol)は第II相試験において特異的な急性薬剤性肝障害(DILI)の治療薬として報告されている。この研究は、抗結核薬による急性DILIに対するビシクロール25mgと50mgの1日3回投与の有効性と安全性を評価することを目的とした。
■主要評価項目は、投与4週間後の血清ALT値のベースラインからの低下とした。
■全体でDILI148例が組み入れられ、対照群(456mgポリエン-ホスファチジルコリン1日3回)、高用量群(50mgビシクロール1日3回)、低用量群(25mgビシクロール1日3回)にそれぞれ48例、52例、48例が組み入れられた。
■ALT値は、対照群、高用量群、低用量群でベースラインからそれぞれ149.0(IQR:299.3~98.3)、225.5(IQR:309.3~181.8)、242.5(IQR:364.8~153.8)U/L減少した(P < 0.001)。1週目、2週目、4週目、6週目および8週目のALT正常化率は高用量群および低用量群で高かった。
■有害事象および重篤な有害事象は各群で同様であった。
by otowelt
| 2024-01-25 00:55
| 抗酸菌感染症