EMBARCレジストリ:ROSE基準を満たすCOPD合併気管支拡張症は半数程度
2024年 02月 17日
EMBARCレジストリからの報告です。ROSE基準を満たすCOPD合併気管支拡張症は思ったほど多くないのですが、COPDとラベリングされた人は増悪リスクが高いというものです。重症化しやすい層が見分けられれば個人的にはそれでよいのではとも思いますが、それでも定義は大事なのでしょう。
- 概要
■気管支拡張症(BE)とCOPDは関連疾患であるが、誤診が多いと考えられている。最近、BEとCOPDの関連についての国際的なコンセンサス定義が発表されている。
ROSE基準 ・放射線学的所見(R):気管支拡張症あり ・閉塞性換気障害(O):1秒率<0.7 ・症状(S) ・曝露(E):10 pack-years以上の喫煙 |
■28か国において、CTで確認されたBE患者の前向き観察研究であるEMBARCレジストリの解析である。ROSE基準を用いてBE-COPD関連を客観的に定義した。
■最長5年間の追跡期間中の主要評価項目は増悪、入院、死亡であった。
■16730人のBE患者が対象となった。4336例にCOPDの合併診断があり、これらの患者では増悪が多く、QOLが悪く、重症度スコアが高かった。
■ROSE基準を用いたCOPDの過剰診断は顕著であった。すなわち、COPDと診断された患者の22.2%は気流閉塞を認めず、31.9%は10 pack-years以上の喫煙歴がなかった。したがって、COPDのROSE基準を満たす割合は2157人(55.4%)のみであった。COPDでない患者と比較して、ROSE基準を満たした患者は追跡期間中に増悪および入院に至った増悪のリスクが高かったが(罹患率比1.25 95%信頼区間1.15-1.35、罹患率比1.69 95%信頼区間1.51-1.90)、ROSE基準を満たさないCOPDと診断された患者も増悪のリスクが高かった。
by otowelt
| 2024-02-17 01:52
| 呼吸器その他