アニオンギャップが高い重症COPDは死亡リスクが高い


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動脈血ガス分析の読み方の中に、アニオンギャップを入れることはもはや当たり前になりましたが、COPDにおいてはあまり検討されてきませんでした。重症COPDにおける貴重な報告です。





  • 概要
■アニオンギャップ(AG)は重症患者の予後と関連することが証明されているが、COPDの重症患者におけるAGと全死亡との関連を検討した研究はほとんどない。この研究では、COPDの重症患者において、初期AG値が死亡リスクを予測するという仮説を立てた。

■後ろ向きコホート研究は、Medical Information Mart for Intensive Care(MIMIC)IVデータベースを用いておこなわれた。患者のICU入室後24時間の背景、バイタルサイン、臨床検査、併存疾患、各種スコアリングを抽出した。多変量ロジスティック回帰分析モデルを用いて、血清AG値と死亡率との関連を検討した。

■5531人のCOPD重症患者が登録された(男性53.6%、女性46.4%、年齢中央値73歳)。これらの患者のICUにおける全死因死亡率は13.7%であった。単変量ロジスティック回帰分析では、AGレベルが高くなるにつれて全死亡のリスクは増加した(オッズ比1.13、95%信頼区間1.11-1.15、p<0.01)。多変量ロジスティック回帰分析における共変量調整後オッズ比は1.06(95%信頼区間1.04-1.09、p<0.01)であった。

■AG最低群第1四分位範囲(≦11mmol/L)と比較して、第2四分位範囲(12-13mmol/L)のAGと死亡率の調整オッズ比は0.89(95%信頼区間0.63-1.25、p=0.502)、第3四分位範囲(14-15mmol/L)は0.95(95%信頼区間0.68-1.34、p=0.788)、第4四分位範囲(≧16mmol/L)は1.49(95%信頼区間1.10-2.02、p=0.009)だった。サブグループ解析および層別解析の結果においても、同様であった。





by otowelt | 2024-04-06 00:50 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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