遷延性エアリークに対するEWS1,095例の検討

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呼吸器内科医にとっては当たり前の「EWS」ですが、「Wって何か知っている?」と聞いても、だいたい若手医師も知っているくらい有名なWatanabe spigot。渡辺洋一先生の名前は、ずっと残ってほしいものです。

原田産業のウェブサイトに経緯について詳しく掲載されています。

■ドクターの熱い想いから生まれた「気管支充填材 EWS」(URL:https://www.haradacorp.co.jp/company/projects/45

それにしてもEWS1,000例以上の検討って、こんな素晴らしい論文が世に出るとは・・・。

死亡が多いように思われるかもしれませんが、EWSが行われるのは、耐術能がなくADLが低い気胸患者さんのことが多く、基本的にベースラインはかなり厳しい症例が多いのです。

バルーンを使って責任気管支を同定してからEWSを入れます。





  • 概要
■気管支内シリコン製スピゴット(EWS)は、遷延性エアリークを管理するための気管支鏡インターベンションで使用されている。しかし、この手技の成績は十分に検討されていない。

■2014年4月から2022年3月までの日本の全国入院患者データベースを用いて、EWSを受けた全適格患者の臨床的特徴および転帰を評価した。また、治療失敗に関連するリスク因子についても調査した。治療失敗は、気管支閉塞術後の院内死亡または手術の必要性と定義した。

■EWSを用いて気管支閉塞術を受けた1095例のデータを解析した。そのうち252例(23.0%)が入院中に死亡し、403例(36.8%)が治療失敗を経験した。

■治療失敗と関連する因子は、85~94歳(オッズ比1.83;95%信頼区間1.04~3.21)、男性(オッズ比2.43;95%信頼区間1.44~4.11)、低Barthel index(0:オッズ比2.66、95%信頼区間1.35–5.22、5–50:オッズ比2.44、95%信頼区間1.48–4.01)、間質性肺炎の併存(オッズ比1. 71;95%信頼区間1.18-2.48)、抗菌薬治療(オッズ比1.45;95%信頼区間1.02-2.07)、ステロイド治療(オッズ比1.59;95%信頼区間1.07-2.36)、気管支閉塞前の手術(オッズ比2.08;95%信頼区間1.29-3.35)であった。

■一方、気管支閉塞後の胸膜癒着術(オッズ比0.49;95%信頼区間0.32-0.75)、大規模病院への入院(オッズ比0.58;95%信頼区間0.37-0.90)は治療失敗と逆相関していた





by otowelt | 2024-04-12 00:20 | 気管支鏡

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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