NTM-KOREA:肺NTM症の治療により3分の1が健康関連QOL改善
2024年 04月 11日
肺NTM症の臨床では、「喀痰培養陰性化」にどうしても目を奪われがちですが、この数年PROに注目が集まっています。NTM-KOREAから、微生物学的アウトカムとは関連なく健康関連QOLが約3割で改善するという、興味深い研究結果が報告されています。
- 概要
■肺NTM症の治療において、健康関連QOL(HRQOL)の改善が優先課題となっている。我々は、肺NTM症患者におけるHRQOLとその6か月治療後の変化を評価することを目的とした。
■NTM-KOREAは、韓国8施設で肺NTM症の治療を開始した患者を登録した全国規模の前向きコホートである。6か月間隔でQOL-B(Quality of Life-Bronchiectasis)を実施し、ベースラインスコア(スコアが高いほどQOLが高い)と6か月治療後の変化を評価した。多変量ロジスティック回帰を行い、QOL-Bの身体機能および呼吸器症状の改善と関連する因子を同定した。
■2022年2月~2023年8月までの間に、411例の患者が解析に組み入れられた。身体機能と呼吸器症状のベースラインスコア(95%信頼区間)はそれぞれ66.7点(46.7-86.7点)と81.5点(70.4-92.6点)であった。治療6か月後にQOL-Bを記入した228例のうち、身体機能と呼吸器症状の改善はそれぞれ61例(26.8%)と71例(31.1%)で観察された。治療開始時の身体機能(調整オッズ比0.93;95%信頼区間0.91-0.96)および呼吸器症状(調整オッズ比0.92;95%信頼区間0.89-0.95)のスコアが低いほど、それぞれ身体機能および呼吸器症状の改善の可能性が高いことと関連していた。
■培養陰性化の達成は、身体機能(0.62;0.28-1.39)または呼吸器症状(1.30;0.62-2.74)の改善とは関連していなかった。
■肺NTM症に対する6か月間の抗菌薬投与後、HRQOLは、培養陰性化の有無にかかわらず、ほぼ3分の1、特に初期症状が重症の患者で改善した。
by otowelt
| 2024-04-11 00:55
| 抗酸菌感染症