関節リウマチ患者における生物学的製剤使用有無ごとのニューモシスチス肺炎転帰

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生物学的製剤が投与されている事例でもそうでない事例でも、PCPを発症するとそれはそれで大変だという啓蒙的な報告かと思います。





  • 概要
■PCP発症前に生物学的製剤を使用した関節リウマチ(RA)患者と使用しなかったRA患者との間でPCPのアウトカムを調査すること。

■PCP発症前に生物学的製剤による治療を受けたRA患者と受けていないRA患者におけるPCP例を後ろ向きに検討した。主要評価項目は30日生存率および180日生存率とし、副次的評価項目は院内死亡、集中治療室入室、入院中の呼吸補助の必要性などで定義される重症PCPとした。

■本試験には82例が登録され、生物学的製剤使用群(n=39)と非使用群(n=43)が含まれた。使用群と非使用群では、30日生存率、180日生存率、重症PCP発生率に有意差はなかった。死亡のKaplan-Meier生存曲線においても、使用群と非使用群で有意差がみられなかった。Cox回帰ハザード解析の結果、PCP発症前90日以内のプレドニゾロン1日平均投与量は、PCP発症後の死亡率と弱い相関を示した。

■結果的に、RA患者において、PCP発症前の生物学的製剤の使用は非使用と比較してPCPの重症度と死亡率を増加させなかった。





by otowelt | 2024-05-01 00:45 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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