LAMにおける肺癌リスク

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膨大なLAM患者さんの症例から導き出されたデータです。

※LAMの併存症については、医療機関で綿密なフォローアップされるため、この記事をお読みになったLAM患者さんはどうかご不安にならないでください。




  • 概要
■リンパ管管筋腫症 (LAM) は、TSC1 および TSC2 に関連する稀な腫瘍性疾患、肺の構造改変を引き起こし、肺癌のリスクを高める可能性がある。しかしながら、まれな疾患であることからこの関連は不明であった。

■日本のがん登録のデータを参照集団として使用し、日本の単一施設において、2001年から2022年の間にLAMと診断された患者における肺癌発症の相対リスクを調査した。 検体が入手可能な場合には、次世代シーケンス (NGS) が実行された。

■LAMと診断された642人の患者(孤発性LAM557例、TSC-LAM80例、未分類5例)のうち、13人(2.2%)が追跡期間(5.13年)中に肺癌と診断された。患者は全員女性で、61.5%は非喫煙者で、肺癌診断時の年齢中央値は53歳であった。肺癌の推定発生率は 10万人年あたり 301.4 件で、標準化罹患率は 13.6 (95% 信頼区間6.2~21.0、p = 0.0008)であった。

■ドライバー遺伝子変異が患者の38.5%で同定された (EGFR: 3例、ALK: 1例、ERBB2[HER2]: 1例)。NGS によって分析された 2 例の患者において、TSC 遺伝子のloss of functionを示唆する所見はなかった。





by otowelt | 2024-05-18 00:46 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優