NTMの合併有無による気管支拡張症患者の5年間臨床アウトカム
2024年 05月 09日
少し患者さんにとっては安心できるデータになるかもしれません。10年、20年とみるともう少し景色が違うかもしれませんので、決してwatchful waiting is the bestというわけではありませんからご注意を。
- 概要
■非結核性抗酸菌症(NTM)は気管支拡張症患者の間で流行している。しかし、NTMと気管支拡張症を有する患者の長期的な自然経過については十分に説明されていない。
■気管支拡張症患者の5年間の臨床転帰と死亡率に対するNTMの影響を評価した。
■United States Bronchiectasis and Nontuberculous Mycobacteria Research Registryに登録されており、5年以上の追跡期間がある患者を対象とした。全死亡、肺機能、増悪、入院、重症度に関するデータを収集した。ベースライン時のNTMの有無で転帰を比較した。死亡率はCox比例ハザードモデルとlog-rank検定を用いて評価した。
■2,634例の患者が組み入れられた: 1,549例(58.8%)がベースライン時にNTMを認め、1,085例(41.2%)が認めなかった。
■5年目の全死因死亡率(95%信頼区間)は、全体で12.1%(10.5%-13.7%)、NTMを有する患者では12.6%(10.5%-14.8%)、NTMを有さない患者では11.5%(9.0%-13.9%)であった。
■5年死亡率の独立予測因子は、ベースラインの%FEV1、年齢、ベースライン前2年以内の入院、肥満度、性別であった(すべてp<0.01)。
■気管支拡張症患者がNTMあるいは緑膿菌に感染する確率は、それぞれ年間約4%および3%であった。
■スパイロメトリー、気管支拡張症増悪、入院はNTMの有無にかかわらず同様であったが、NTM患者では年間の増悪が少なかった(p<0.05)。
by otowelt
| 2024-05-09 00:18
| 呼吸器その他