1秒量および努力性肺活量は総死亡・心血管系リスクと関連
2024年 06月 02日
バイオバンクコホートで、ものすごい量のビッグデータを解析したものです。あまり肺機能パラメータが大きすぎて困る・・・という事例は多くないので、通常診療においては閉塞性換気障害と拘束性換気障害に該当するかどうかが重要であることに変わりありません。
- 概要
■ベースライン時にスパイロメトリーが正常であった人を含む大規模成人集団におけるFEV1とFVCの影響に関するデータは限られている。
■イギリスBiobankコホートを用いて、40万6,424人を対象に多変量Cox回帰分析を行い、%予測値に基づいて3群(80%以上、60-80%、60%未満)に分類したFEV1およびFVCと、約12.5年間での総死亡率、心血管死亡率、心筋梗塞、脳卒中、心不全との関連を検討した。さらに、スパイロメトリーが正常であった29万5,459人を対象にサブグループ解析を行った。
■%FEV1および%FVCの低下は、すべての調査アウトカムにおいてリスク上昇と関連していた。%FEV1および%FVCが最も低い(<60%)集団は、80%以上の集団と比較して、全死亡でハザード比1.83(95%信頼区間1.74-1.93)、ハザード比1.98(95%信頼区間1.76-2.22)と有意なリスク上昇がみられた。また、心血管死亡についてもそれぞれハザード比1.96(95%信頼区間1.83-2.1)、ハザード比2.26(95%信頼区間1.94-2.63)とリスク上昇がみられた。
■%FEV1と%FVCを連続変数として用いた総死亡のハザード比を描いたスプライン曲線は、%FEV1・%FVC減少に伴うリスクの漸増および正常息におけるリスク漸増という結果が示されている。そのため、%予測値80%以上であっても決してリスクが低い集団と断定できるわけではない。
by otowelt
| 2024-06-02 00:37
| 呼吸器その他