重症喘息に対する生物学的製剤開始後の臨床的寛解2~4因子基準の検討
2024年 05月 06日
喘息の臨床的寛解には国内外で定義の差異があります。まず国内についてはPGAMの基準を用います。ACT23点はハードルが高いことと、日本人が4点を選択しやすいという特性も考慮して、個人的にはACT20点くらいでよいと思っています。
国際的にはここに%予測1秒量80%以上というのが加わることが多いのですが、肺機能検査をチェックしなければならないというのはなかなか評価基準としては煩雑でもあります。ACTコントロール、増悪なし、OCSなし、%1秒量80%以上という4因子基準であっても5人に1人がこれを満たすことが示されました。
■リアルワールドにおける喘息の臨床的寛解の定義に含めるべき基準についてのコンセンサスは得られていない。生物学的製剤投与後の達成に関連する因子はまだ十分理解されていない。生物学的製剤投与後に複数の定義による臨床的寛解を達成した重症喘息成人の割合を定量化し、達成に関連する生物学的前特徴を同定することで、達成の予測が可能となる。
■ISARレジストリの23か国のデータを用いた縦断的コホート研究である。生物学的製剤投与開始前後1年間で、4つの喘息アウトカムドメインを評価した。事前に定義された寛解因子は以下の通りであった。
①増悪0回/年
②長期経口ステロイドなし(LTOCS)
③喘息の部分的・コントロール良好
④%予測1秒量≧80%
■臨床的寛解は、2因子基準(増悪+LTOCS)、3因子基準(+コントロールまたは+肺機能)、4因子基準のそれぞれで評価された。生物学的検査前の特徴と生物学的検査後の寛解との関連を多変量解析により評価した。
■臨床的寛解率は以下の通りであった。すなわち、2因子基準50.2%、3因子基準(コントロール)33.5%、3因子基準(肺機能)25.8%、4因子基準20.3%。4因子での臨床的寛解を達成するオッズは、喘息罹病期間が10年増えるごとに15%減少した(オッズ比:0.85;95%信頼区間0.73-1.00)。寛解のオッズは、増悪回数が少なく、LTOCSの1日投与量が少なく、コントロールが良好で、生物学的製剤投与開始前の肺機能が良好な患者で増加した。
by otowelt
| 2024-05-06 00:53
| 気管支喘息・COPD