II型呼吸不全の気管支拡張症に対するネーザルハイフロー
2024年 05月 28日
気管支拡張症のII型呼吸不全においても、HFNCはよい酸素療法と言えます。喀痰が多いのでNPPVは選択しにくいですし、通常酸素療法不適かつPaCO2が高くなってくる症例では、HFNCが望ましいでしょうね。
- 概要
■高CO2血症を伴う気管支拡張症患者におけるHFNC(ネーザルハイフロー)の有効性は依然として不明である。この研究の目的は、そのような患者におけるHFNC治療の短期アウトカムを後ろ向きに解析し、この特定の患者集団における治療失敗の予測因子をさらに調査することである。
■2019年9月から2023年9月までに高CO2血症(PaCO2≧45mmHg)に対してHFNCを受けた気管支拡張症患者(70例)を対象に後ろ向きレビューを実施した。
■研究対象集団では、ベースラインで患者の30%がアシデミア (pH < 7.35) を示した。HFNC治療の24時間以内に、PaCO2 レベルは平均4.0±12.7 mmHg (95%信頼区間-7.0 ~ -1.0 mmHg) という低下が確認された。同時に、pHは統計的に有意な増加を示し、平均変化は 0.03 ± 0.06 (95%信頼区間0.01 ~ 0.04) であった。
■この研究における全体的な院内死亡率は 17.5%だった。 入院期間の中央値は 11.0 日 (IQR8.0 ~ 16.0 日) でした。 サブ分析では、アシデミアがある群とない群において入院死亡率(19.0% vs 20.4%、p = 0.896)、入院期間(中央値14.0日[IQR 9.0~18. 0日]vs.10.0日[IQR 7.0~16.0日]、p = 0.117)、HFNC適用期間(中央値5.0日[IQR 2.0~8.5日]vs.6.0日[IQR 4.9~9.5日]、p = 0.076)に有意差はなかった。しかしながら、アシデミア群ではDNRオーダーの患者が多かった。HFNC の全体的な治療失敗率は28.6%だった。ロジスティック回帰分析により、APACHE II スコア (1 点あたり OR 1.24) が HFNC失敗の独立予測因子であることが特定された。
by otowelt
| 2024-05-28 00:12
| 集中治療