UCAP研究:喘息・COPDのケアは専門家にまかせるべきか?

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個人的には、COPDや喘息のようなcommon diseasesは、一度どこかで専門家がチェックするような形で、基本的にはプライマリ・ケア医に日常診療をお願いしてよいと考えています。それぞれの国の事情もあると思いますが、そこまで大きな差が出るとは考えていません。




■COPDや喘息患者の多くは診断を受けておらず、その呼吸器症状はほとんど治療されないままである。

■スパイロメトリーで未診断のCOPDまたは喘息と判明した参加者を多施設ランダム化比較試験に登録し、早期診断と治療が呼吸器疾患による医療の利用を減少させ、健康アウトカムを改善するかどうかを検討した。

■参加者は、介入(ガイドラインに基づいたケアを開始するよう指導された呼吸器専門医と喘息-COPD教育者による評価)を受ける群と、プライマリケア医による通常ケアを受ける群に割り付けられた。主要アウトカムは、参加者が呼吸器疾患のために医療を利用した割合を年率換算したものでとした。副次的アウトカムは、SGRQスコア、CAT、1秒量とした。

■38,353人のうち、595人が未診断のCOPDまたは喘息であることが判明し、508人がランダム化された。253人が介入群に、255人が通常ケア群に割り付けられた。

■主要転帰に関して、年率換算発生率は、介入群のほうが通常ケア群よりも低かった(1人年当たり0.53イベント vs 1.12イベント;発生率比0.48;95%信頼区間0.36~0.63;P<0.001)。12か月後のSGRQスコアは、介入群でベースラインより10.2点、通常ケア群で6.8点低下し(差-3.5点;95%信頼区間-6.0~-0.9)、CATスコアはそれぞれベースラインより3.8点、2.6点低下した(差-1.3点;95%信頼区間-2.4~-0.1)。1秒量は介入群で119ml、通常ケア群で22ml増加した(差94ml;95%信頼区間50~138)。有害事象の発生率は両群で同様だった。





by otowelt | 2024-05-22 00:32 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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