BICS研究:COPDに対するビソプロロール
2024年 05月 21日
今年のATSでも取り上げられていますが、「呼吸器内科医必読論文」です。
COPDに対するβ遮断薬は、循環器内科・呼吸器内科双方で懸念されている薬剤ですが、個人的には循環器の恩恵が大きければ使っていただくようお願いしています。この論文のプライマリアウトカムの設定によってAbstractはその事実を記載されていますが、「ビソプロロールはCOPD患者に恩恵がない」といった曲解をしないことが重要です。
ビソプロロールの安全性プロファイルはプラセボの安全性プロファイルと同様で、重篤な有害事象や総副作用または呼吸器系の有害反応の増加はないということになります。BLOCK COPD研究でも示されているように、COPD単独に対して有益と思っている人はいないと思うので、あくまで循環器リスクが高いかどうかでβ遮断薬の使用を検討すべきです。
「COPDがあるからβ遮断薬はやめておこう」という見解はもうずっと前にマイノリティになっていると思います。
BICSはBLOCK COPDといろいろ条件が異なりますが、74%にトリプル吸入療法が入っている集団に安全に使えるというデータは重要です。
■観察研究では、β遮断薬の使用はCOPD増悪リスクの低下と関連する可能性があると報告されている。しかし、最近の試験(BLOCK COPD)では、メトプロロールはCOPD増悪を抑制せず、入院を要するCOPD増悪を増加させることが報告されている。
■増悪リスクの高いCOPD患者において、ビソプロロールがCOPD増悪を減少させるかどうかを検証した。二重盲検プラセボ対照RCTで、イギリス76施設(プライマリケアクリニック45施設、二次クリニック31施設)で実施された。スパイロメトリーで中等度以上の気流制限(1秒率<0.7;1秒量<予測値80%)があり、過去12か月間に経口ステロイド、抗菌薬、またはその両方で治療されたCOPD増悪が2回以上あったCOPD患者が、2018年10月17日から2022年5月31日まで登録された。追跡調査は2023年4月18日に終了した。
■登録患者をビソプロロール群(n=261)とプラセボ群(n=258)にランダムに割り付けた。ビソプロロールは1日1.25mgから経口投与が開始され、標準化されたプロトコールを用いて、忍容性に応じて最大用量5mg/日まで漸増された。
■主要臨床アウトカムは、1年間の治療期間中における経口ステロイド、抗菌薬、またはその両方による治療を受けた患者報告によるCOPD増悪数である。
■本試験では1574例を登録する予定であったが、COVID-19の流行により2020年3月16日から2021年7月31日まで募集を停止した。各群2例がランダム化後に除外された。515例(平均年齢68±7.9歳、男性274例[53%]、平均1秒量50.1%)のうち、514例(99.8%)で主要アウトカムデータが得られ、371例(72.0%)が服用を継続した。
■患者報告によるCOPD増悪を経口ステロイド、抗菌薬、またはその両方で治療した患者の主要アウトカムは、ビソプロロール群で526例、平均増悪率は2.03/年であったのに対し、プラセボ群では513例、平均増悪率は2.01/年だった。調整後の発生率比は0.97(95%信頼区間0.84-1.13;P = 0.72)であった。
■重篤な有害事象は、ビソプロロール群では255例中37例(14.5%)に発生したのに対し、プラセボ群では251例中36例(14.3%)に発生した(相対リスク1.01;95%信頼区間0.62-1.66;P = 0.96)。
■増悪リスクの高いCOPD患者において、ビソプロロールによる治療はCOPD増悪の自己報告数を減少させなかった。
by otowelt
| 2024-05-21 04:24
| 気管支喘息・COPD










