高齢者に対するピラジナミドは大丈夫か?

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高齢者に対するPZAは肝障害が有意に多いと信じられてきましたが、全体としては有意差がついていないという結果でした。

Discussionにも書かれているように、後ろ向き観察研究なので、リスクが高い集団が一定数回避されていたり、調整できなかった交絡因子が存在する可能性があります。とはいえ、かなりの人数をマッチしており、そこまで気にせんでエエやろは真実かもしれません。






■ピラジナミド(PZA)は結核(TB)の標準的な一線治療であるが、高齢患者における安全性は十分に調査されていない。

■本研究の目的は、日本の全国的な入院データベースを使用して、高齢患者におけるPZAの安全性を評価することである。

■本研究は後ろ向きコホート研究であり、2010年7月から2022年3月までのTBで入院した患者のデータを使用した。患者はHRE群(イソニアジド、リファンピシン、エタンブトール)とHREZ群(HREにPZAを追加)に分類された。

■主要アウトカムは院内死亡率と全体の有害事象であった。傾向スコアマッチによってデータを分析し、75歳以上の患者についてサブグループ分析を行った。

■19,930人の対象患者のうち、8,924人がHRE治療を受け、11,006人がHREZ治療を受けた。傾向スコアマッチにより、平均年齢約80歳の3,578ペアが作成された。

■HRE群と比較して、HREZ群は全体の有害事象の割合が高かった(3.1% vs 4.7%; p < 0.001)。HRE群では肝障害の発生率は1.5%、HREZ群では1.9%であり、有意差はなかった(p = 0.169)。院内死亡率、入院期間にも有意差はなかった。







by otowelt | 2024-06-06 02:18 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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