誤嚥に「とろみ水」は正しいか?
2024年 06月 24日
「誤嚥対策=とろみ」という認識に、一石を投じる重要な研究です。
- 概要
■嚥下機能障害は、アルツハイマー病および関連認知症 (ADRD) の入院患者によく見られる。嚥下障害の患者にとろみ水を使用すると、観察時に誤嚥が減少することが示されていますが、この方法が臨床結果の改善につながるという明確なエビデンスはない。
■とろみつき食事とそうでない食事と比較して、ADRDおよび嚥下障害の入院患者の結果の改善と関連しているかどうかを判断した。
■このコホート研究には、2017年1月1日から2022年9月20日の間にニューヨークの11医療機関に入院し、入院中に嚥下障害の臨床的疑いがあり、入院後少なくとも 24 時間生存している 65 歳以上の ADRD 成人が含まれた。患者は、病院食の少なくとも 75%がとろみつきの濃厚流動食か、またはそうでない流動食かによってグループ分けされた。
■傾向スコアマッチングを使用して、人口統計 (年齢、性別など)、ベースラインの臨床特性 (Charlson併存疾患指数など)、急性症状 (呼吸器診断、病気の重症度、せん妄など) について、2グループ間で共変量のバランスをとった。
■傾向スコア マッチング分析に含まれる ADRD および嚥下障害のある 8,916 人の患者のうち、平均年齢は 85.7±8.0歳で、4,829人が女性 (54.2%) だった。とろみつきの濃厚流動食を摂取している合計4,458人の患者が、そうでない流動食を摂取している 4,458 人の患者とマッチされた。とろみ水群とそうでない群の間で、院内死亡率に有意差はなかった(ハザード比 0.92、95%信頼区間0.75-1.14、P = .46)。
■とろみのない水を与えられた患者と比較すると、とろみ水を与えられた患者は挿管される可能性が低かった(オッズ比0.66、95%信頼区間0.54-0.80)が、呼吸器合併症を起こす可能性は高かった(オッズ比1.73、95%信頼区間1.56-1.91)。
by otowelt
| 2024-06-24 00:57
| 内科一般