ICSアドヒアランス不良と喘息コントロール
2024年 07月 07日
アドヒアランス不良という言葉がややこしいですが、MPRでみた場合に、「コントロールが良いから処方された吸入薬を使っていない」という集団がいるのは事実です。他方で、コントロールされていない喘息においても、アドヒアランス不良が一定割合存在します。
- 概要
■喘息がコントロールされていない患者は、服薬アドヒアランスについて評価する必要がある。この研究の目的は、ICSアドヒアランス不良に関連する特徴を特定し、治療エスカレーション前のアドヒアランスを調査することです。
■この全国縦断コホート研究において、ACTを含むデータが2017 年 7 月 1 日から 2019 年 2 月 28 日 (インデックス日) の間にスウェーデン国立気道登録簿に登録された成人喘息患者 (n = 3万880人) とリンクされた。インデックス日の 2 年前と 1 年後の治療ステップは、処方薬によって分類された。アドヒアランス不良は、MPR(総投薬量に対する実服薬量の割合)<80 % と定義された。
■治療ステップ 2 ~ 5 の患者の 73 % でアドヒアランス不良が確認され、そのうち 35 % は喘息がコントロールされていなかった (ACT≤19)。
■調整モデルでは、ステップ2~3におけるアドヒアランス不良は喘息コントロールと関連していた:ACT≤19(オッズ比0.78、95%信頼区間0.71-0.84)、SABA過剰使用(オッズ比0.69、95%信頼区間0.61-0.79)、喘息増悪(オッズ比0.79、95%信頼区間0.70-0.89)。また、コントロール不良の喘息患者では、アドヒアランス不良は SABA 過剰使用 (オッズ比1.71、95%信頼区間1.50-1.95)、喘息増悪 (オッズ比1.29、95%信頼区間1.15-1.46)、現喫煙 (オッズ比1.38、95%信頼区間1.21-1.57) と関連しており、喘息管理教育 (オッズ比0.85、95%信頼区間0.78-0.93) と逆相関していた。同様の結果がステップ 4-5 でも確認された。
■インデックス日以降の治療を調査すると、53% が安定し、30% が段階的に治療を中止し、17% が治療を強化した。治療強化前は、49% がアドヒアランス不良だった。
■ICSアドヒアランス不良は、喘息コントロールと関連していた(結果的にコントロールがついておりICSのアドヒアランスが維持されなかった)。コントロール不良の患者では、アドヒアランス不良は SABA の過剰使用や治療強化と関連していた。
by otowelt
| 2024-07-07 00:35
| 気管支喘息・COPD