講演案内:第132回日本結核・非結核性抗酸菌症学会近畿支部学会/第103回日本呼吸器学会近畿地方会 合同学会

 2024年7月20日の日本結核・非結核性抗酸菌症学会および日本呼吸器学会の近畿地方会(URL:https://www.kekkaku.gr.jp/ntm/no132/)において、ダブルヘッダーで講演させていただきます。現地参加のみとなっておりますので、お近くの先生方はぜひお越しください。

 Mycobacterium abscessus症のレジメン構築については、スポンサードではないので、机上のお話ではなく具体的な用法用量・導入タイミングについてリアルに悩むポイントや最新情報も含めてお話できればと思います。


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 日本結核・非結核性抗酸菌症学会から『成人肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解』が刊行されて約1年になる.肺非結核性抗酸菌(NTM)症の死亡者数は結核のそれを逆転し,肺NTM症はもはや専門家ならずとも診療する必要があるcommon diseaseとなった.
 しかしながら, 肺M. avium complex(MAC) 症ならばともかく, 肺M. abscessus species(MABS)症をプライマリ・ケア・セッティングで診療する土壌はまだ整っているとは言えない.MABSに対して,有効な薬剤が少な いことから,国際的にlimited treatment option(LTO)の状況にあり,治療薬の開発・上市は急務である.肺MABS症の治療については,その複雑性から専門性が高いと認識されており,また外来で初期治療を導入しにくい現状から,診療そのもののハードルについても高いと言わざるを得ない.
 さて,学会見解には肺MABS症の治療レジメンについても詳細に記載されている.しかし,目の前の症例に対して,どの薬剤を・どのような用法用量で・ どのタイミングで・どれくらいの期間投与すればよいか,について具体的なイメージが湧かないという相談を受けることも少なくない.
 本講演では,肺MABS症の実際の症例をベースに,薬剤感受性検査の解釈, イミペネム/シラスタチンの用法用量,アミカシンの投与法・血中濃度測定・ 外来移行の仔細,マクロライドの選択,クロファジミンの導入法,その他保険収載されていないシタフロキサシン・吸入アミカシンリポソーム懸濁液,オキ サゾリジノン系抗菌薬,オマダサイクリンなど,諸外国で現在使用されている レジメンについても併せて解説させていただく.
 さらに,最近肺MABS症において近年トピックである,デュアルβラクタム戦略やジアザビシクロオクタン (DBO)系βラクタマーゼ阻害剤の併用など,有望視されている薬剤についても紹介させていただく. 当該感染症において,実臨床で疑問に感じるところを,本講演で余すことなくお伝えできればと考えている.


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 今や,成人喘息のコントロールは「寛解」(remission on treatment)を維持する時代に入った.令和4年度(2022年度)における喘息の死亡者数は,1,004 人と最低記録を更新し続けている(※抄録執筆時の人数、現在は1,089人).これは吸入治療の普及によるところが大きい.生物学的製剤も自己注射のペン型が主流となり,喘息増悪を繰り返して救 急搬送される在りし日の重症例は大きく減ったと実感している.
 喘息の吸入薬は,吸入ステロイド(ICS),ICS/吸入長時間作用性β2刺激薬(LABA),ICS/LABA/吸入長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の3パターンが存在する.この中ではいわば「最強」に位置するICS/LABA/LAMAのトリプル吸入療法は,ICS/LABAと比べて,肺機能を改善させ,増悪を抑制する効果が確認されている.
 喘息に対してCOPD治療薬であったLAMAが保険適用されるようになったトリプル吸入療法の黎明期は,LAMAを別途処方する MITT(Multiple Inhaler Triple Therapy)が主流だった.しかし,1吸入1日2回と2吸入1日1回の製剤を別々に吸入するという離れ業に,服薬アドヒアランスの維持は困難を極めた.その臨床的ジレンマを解決させたのが,2020年に処方可能となったワンデバイスの SITT(Single Inhaler Triple Therapy)である.喘息に対しては,現在2製剤が保険適用されている.
 GINA(Global Initiative for Asthma)などの国際ガイドラインと喘息診療実 践ガイドライン(PGAM)などの国内ガイドラインでは,トリプル吸入療法の位置づけや温度感がやや異なる.この理由として,上市されている製剤の種類が違うことや,徐々にアクセルをふかしていく「step up 戦略」とブレーキをかけていく「step down 戦略」のどちらがよいのかコンセンサスがまだないこと,などが理由として挙げられる.
 また,抗菌薬のように「できるだけ狭域で投与する」,すなわち「吸入薬は最小限で維持すべし」という内容が喘息治療において展開されることもある.
 薬剤曝露は少ない方がよいとする「less is more」の理念に異論はないものの,コントロールラインのギリギリを目指すべきかどうか,気道リモデリングや persistent airflow limitation(PAL)の観点から吸入療法とはどうあるべきか, 私見を述べさせていただきたいと思う.




by otowelt | 2024-07-16 00:57 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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