IGRAの陰転化・陽転化の検討
2024年 07月 28日
有病率が低い地域においては、この境界線上の陽性というのは真陽性ではない可能性があるので注意が必要です。たとえば日本の医療機関の新採用入職者におこなわれるIGRA陽性は、半分くらいが偽陽性と思われます。
- 概要
■インターフェロンガンマ遊離アッセイ(IGRA)は潜在性結核感染症の診断に広く使用されている。しかし、再検査を行うとIGRAの転換(陰転化または陽転化)が検出されることがあり、その解釈は困難である。我々はIGRAの転換の頻度とリスク因子を調査した。被験者においてIGRA転換(および一過性転換)のプール頻度を計算し、関連する危険因子を調べた。
■244の研究から得られたIGRA陰転化のプール頻度は7.3%(95%信頼区間6.1-8.5%)、IGRA陽転化のプール頻度は22.8%(95%信頼区間20.1-25.7%)と推定された。
■一過性の陰転化はイベントの46.0%(95%信頼区間35.7-56.4%)、一過性の陽転化はイベントの19.6%(95%信頼区間9.2-31.7%)と推定された。
■判定保留が陽転することはほとんどなかった(1.2%、95%信頼区間0.1-3.5%)。IGRAの境界陽性は、陰転化のリスク増加と関連していた(プールオッズ比:陰転化4.15、95%信頼区間3.00-5.30)。IGRAの境界陰性は、陽転化のリスク増加と関連していた(プールオッズ比4.06、95%信頼区間3.07-5.06)。
■BCGワクチン接種は陰転化リスク減少と関連していた(オッズ比0.70、95%信頼区間0.56-0.84)。喫煙は陽転化リスクの減少と関連していた(オッズ比0.44、95%信頼区間0.06-0.82)。女性は陰転化または陽転化のいずれにおいてもリスク減少と関連していた(陰転化オッズ比0.66 [95%信頼区間0.58-0.75];陽転化オッズ比0.46 [95%信頼区間0.31-0.61])。
■IGRAの陰転化は、陽転化よりも頻度が少なく一過性のことが多い。陽転化した人がLTBIの恩恵があるかどうか研究が必要である。
by otowelt
| 2024-07-28 00:25
| 抗酸菌感染症