GRAWITAS試験:胸水を排液するとき、陰圧をかけるか・かけないか 続編
2024年 07月 21日
このブログってアクセス数自体は結構あるけど、だれかの役に立ってるのかなと思うことがしばしばありますが、先日の学会で「いつもブログみています」と何人かに声をかけられました。「そうかい、ありがとうね」みたいな感じでクールに決めていますが、マスクの下では嬉ションしそうなくらい笑っています。
さて、GRAVITAS試験のデジャヴかと思ったのですが、筆者の構成や患者層をみて追加の報告であることがわかりました。臨床試験名もGRAWITASと、マイナーチェンジされています。結論が同じでよかったです。
私個人としては30mLシリンジを使って用手的にゆるやかに引きながら、三方活栓をつかって排液しています。私は腕の筋力が小学生くらいしか無いので、50mLシリンジは重たく、ここは30mLシリンジの出番やろと勝手に思っています。再膨張性肺水腫のリスクを考慮して、ベラボウな量を抜くことはありませんが、だいたい1000~1200mLくらいで止めておくことが多いです。
■過去の研究では、胸腔穿刺後に手動でシリンジ吸引または重力性のドレナージを受ける患者で、処置中の胸部不快感に違いは見られなかった(GRAVITAS)。しかし、吸引によって生じる陰圧勾配による胸痛を、重力性ドレナージによって防ぐことができるかどうかは調査されていない。
■大量の胸腔穿刺を受ける患者では、吸引ドレナージは重力性ドレナージと比較して胸部不快感が増すかを調べた。
■多施設単盲検ランダム化比較試験において、500 mL 以上の大量胸水がある患者を、吸引または重力性ドレナージに 1:1 の割合で割り当てた。吸引は、チューブにに吸引システムを取り付け、陰圧を最大に設定(200mmHg以上の吸引圧に相当)して、実施した。重力性ドレナージは、カテーテル挿入部位の 100 cm 下にドレナージバッグを置き、チューブで接続して実施した。患者は、ドレナージ前、ドレナージ中、ドレナージ後に、100 mm の視覚アナログスケールで胸部不快感を評価した。主要評価項目は、術後 5 分後の胸部不快感とした。副次評価項目には、術後胸部不快感、息切れ、処置時間、排出された液体の量、合併症率の測定値が含まれた。
■最初にランダム化された 228 人の患者のうち、221 人が最終分析に含まれた。主要評価項目である処置後の胸部不快感はグループ間で有意差がなく (p = 0.08)、副次評価項目である処置後の不快感と呼吸困難も同様だった。両グループで排出された液体の量は同程だったが、処置時間は重力式群の方が約 3 分長くなった。両グループ間で気胸または再膨張性肺水腫の発生率に差はなかった。
■手動吸引による胸腔穿刺と重力性ドレナージでは、処置時の不快感と呼吸困難の改善は同程度だった。
by otowelt
| 2024-07-21 01:51
| 呼吸器その他